08 その目に映る僕らの姿は
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その言葉と同時か少し早いかぐらいのタイミングで、何やら上からヒュルルルル…という音がした。
「「「!」」」
音につられて上を見れば、空から数本の矢やら槍やらが降りそそいできた。
イミテはすぐさま馬車に乗り込み、レッドのいる方向にカスミを突き飛ばす。
「きゃっ!?」
「っと…、」
レッドはカスミをうまく受け止めた。
「イミテ!」
「イミテさん!大丈夫ですか!?」
グリーンとイエローが慌てて馬車に駆け寄る。
すると、
「うん。平気。」
けろっとした様子で、イミテは弓を片手に馬車から顔をだした。
おそらく弓をガードにして矢や槍を素早く防いだのだろう、怪我は1つもしていなかった。
それにしてもあれほど数があった攻撃をなんなく防ぐとは、その反射神経には惚れ惚れするばかりだ。
「よかった…」
レッドも、その様子に安堵のため息をつく。
「くそ…!お前ら、金目のものを全部おいてこの場を立ち去れ!」
木の影から飛び出して、目の前に立ちはだかったのは数人の男達。
「さ…山賊!?皆さん、下がって!」
護衛が一歩前にでて、剣を構える。
まあ、相変わらずその手は震えているのだが。
「見えないところから隠れて攻撃するなんて、卑怯な山賊だね。」
そんな護衛とはまさに対照的に、イミテは馬車からピョンと降りると、いつもと変わらない様子で言った。
「なんだと!?女のくせに生意気な…!」
「おい!ハナダの王女がいるぞ!」
「こりゃあついてるぜ!王女様とやらを捕まえれば身の代金がたんまりだ!」
自分を金になる“道具”としてしか見ていない連中を目の前にして、カスミは虫ずが走るような気持ち悪さを感じた。
捕まれば命の保証なんてない。
いや―…死ぬよりもっとみじめな目に合う可能性だってある。
「(怖い……)」
小刻みに震えているカスミに気づいたレッドは、彼女を地面に降ろし頭を人なでする。
「え……、」
「大丈夫。絶対に守ってやるから。」
「レッド…」
「人の気持ちを無視して、金のためだけに利用しようとする奴なんかには絶対に渡さない。」
「!」
レッドは笑ってそう言うと、カスミをかばうように一歩前に出る。
「やる気か!?お前ら!」
「返り討ちにしてやるぜ!」
そんなことを言いながら、まず山賊の1人がイミテに剣を振りかぶる。
それを合図に他の山賊達も一斉に動きだした。
「イミテさん…!」
こんな至近距離では弓矢が使えない…、とあせって声をあげたイエロー。
「平気。」
それに対し、イミテはにっこりと笑みをうかべる。
「余裕ぶりやがっ…て!?」
イミテは素早く剣を交わすと、男のわき腹に蹴りをいれた。
「ぐっ……」
「武術は専門じゃないけど。アンタ達にはこれでじゅうぶんみたいね。」
「こ、の…」
「口先ばかり達者で、腕は大したことないくせにでしゃばるから。」
イミテの言葉は完全に相手を挑発するものだったが、山賊はもう気を失っているため反論も返ってこない。
「ふう。」
「………。」
もちろん、レッドとグリーンも峰打ちだけで残りの山賊を倒していた。
「強いのね、アナタ達。本当にありがとう…!」
カスミは感激したように言う。
「コイツらどうすんだ?」
地面に倒れている山賊達を指差して、レッドが言う。
「もう悪さができないように、城に連行して牢にいれるわ。アナタ達、縄で縛って。」
先ほど何もできなかった護衛達(半分は彼らが動く前にレッド達が行動していたせいなのだが)は、少々戸惑いながらも縄で山賊達を縛っていく。
いまだ痛みのせいでうまく動けない山賊を護衛達が時々「早く歩け」と促して、一同は山道を下っていった。
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