08 その目に映る僕らの姿は
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馬車はゆっくりと慎重に山道を進む。
レッド達も馬車の少し後ろを、ペースを合わせて歩いていた。
すると、「あの…」とカスミが馬車から少し身を乗り出してレッド達に声をかけた。
なんだろう…と、一番最初に目が合ったイミテが、カスミが話しやすいように馬車に近づき横に並ぶ。
「本当にありがとう。突然の頼み、聞いてくれて。」
「いいえ。私達もこの山こえるとこだったから。」
「確かアナタ…イミテ、よね?名前。……合ってる?」
「うん、合ってる。」
「女の子なのに弓矢使いって珍しいわね。弓って重そうだし…手とか疲れないの?」
「もう慣れたからそうでもないかな。」
さらりと答えるイミテに、カスミは目を輝かせた。
「いいわねー!そういうの!私も身体動かすの好きだから、剣とか弓とかやってみたいのに、『はしたない』って周りが反対するのよ。」
「姫様!それは当たり前です!」
話しを聞いていた護衛が、とがめるような表情で言う。
「また姫様になってるわよ。身分を悟らせないためにお嬢様って呼んでって言ったでしょ?」
「あ……;」
「半人前のくせに、変なところでキチンとしてるんだから。嫌になっちゃう。」
「そんなこと言わないでくださいよ!今に一人前になってみせますから!」
「ふふ…、まあ期待しといてあげるわ。」
楽しげに笑うカスミを、イミテは微笑ましそうに眺めていた。
カスミとその護衛は、なんだか不思議な主従関係だが、お互いに打ち解けている感じがすぐに分かる。
ニビシティの身勝手な王の元にいたぶん、その光景は新鮮で羨ましくもあった。
「カスミって、お姫様って感じがしないね。」
気がつけば、そんな言葉を口にしていた。
言った後で王女様に向かってこんなことを言うなんて失礼だったな…、と軽く反省したが、意外にもカスミはアハハ、と笑っている。
「よく言われるわ。おてんばでおしとやかさが足りないって。」
「いや…王女様っぽい気品はじゅうぶんあると思うけど…、なんだろう……気取ってないから、そう感じるんだと思う。」
「そう?だったら良かった。変かもしれないけど、私、王女だからってそれに見合った振る舞いをするの、嫌いなの。」
カスミは少し遠くを見つめ、儚げに語る。
「王女として行動すると、周りの人と距離を感じちゃって…。私は、なるべく対等な立場でいたいから。臣下とも、民衆とも。そして、自分の国の様子は自分自身で把握したいのよ。」
「……そっか。素敵な考えだと思う、すごく。」
イミテは優しい笑みをうかべた。
彼女の考え方に素直に心から尊敬したのだ。
「理解してもらえるなんて思ってもいなかったわ…。うふふ。なんだかイミテとは気が合いそう。」
カスミは心底嬉しそうに笑ってそう言った。
「やっぱり年齢が近いと話しが弾むものなんでしょうか…?」
さっきからずっと話しを続けているイミテとカスミを見て、イエローが少し寂しそうにつぶやいた。
「どうなんだろうなー。気になるんなら混ざって来たらどうだ?イミテがうまい具合にイエローにも話し、ふってくれると思うぞ。」
「え…、でも…。」
「んー…不安なら俺も一緒に行くけど?」
「あ…本当ですか?」
パアッと途端に明るい表情になったイエローを見て、レッドはプッと少し吹き出し、「んじゃ、行くか。」とレッドは馬車に近づく。
「!待て、レッド!」
グリーンに呼び止められ、レッドは馬車にたどり着く直前で止まった。
「なんだよ?」
「イミテ!」
グリーンは次にイミテの名前を呼んだ。
「なに?どうかした?」
「くるぞ!気をつけろ!」
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