08 その目に映る僕らの姿は
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「ぶれいな!近寄るな!死刑だぞ!!お前達、コイツらを止めろ!殺してもいい!」
王は横にいた軍人達に必死にそう言うが、助けようとする者はいない。
「散々こき使われてて使いものにならないなんて言われると思わなかったぜ!」
「冗談じゃねえ!やってられるか!」
「お前ら…!」
王の盾になる存在は、もはや1人もいなかった。
ついには物を投げるものや、王に殴りかかるものまでいた始末だ。
「まあ…これでこりただろうな。仕返し終了っと。行くか!」
「(次はいい町になるといいな。)」
イミテにとって数年間過ごしたこの町に、思いいれがないわけではない。
次はもっと民のことを優先できる優しい人が王になるように―…。
そんなことを願いながら、ニビシティを後にした。
「サカキって奴が裏でいろいろ操ってることは分かったけど…、何が目的なのか突き止めないとな。」
「でも手がかりとか何もないんですよね…。」
「とりあえず町を1つ1つしらみつぶしにあたるしかないんじゃない?」
イミテが地図を片手に広げ、そうつぶやいた。
「いや、目的地はあったほうがいい。まずはこの町を目指す。」
グリーンがスッとイミテの手から地図を取り、ある場所を指差した。
「クチバシティ…、なるほど。確かにそこなら何か情報がありそう。」
それを見て、感嘆の声をもらすイミテ。
「どんな町なんですか?クチバシティって。」
「海に隣接している、港町だ。」
「毎日たくさんの船がこの町にとまるから、うまくいけばいろんな地域の人の話しが聞ける可能性があるってこと。」
「じゃあ目的地はその町で決定だな!どのくらいかかるんだ?」
レッドが地図を覗きこんで言う。
「2つ目の町だけど、山を1つ越えないといけないから結構かかると思う。」
「山って…あれか。」
レッドはピタリと足を止め、つられてイミテ達も立ち止まる。
彼らの目の前には大きな山がそびえ立っていた。
「ん…?」
その入り口付近に橙色の髪の少女の姿があった。
品のいい純白のドレスを身にまとっていて、遠目からでもよく目立つ。
そして、そのすぐ横には馬車と、数人の護衛らしき人達が。
あの少女はどこかの貴族の者なのだろうか?
「…なんか、困ってそうだな。」
少女は腰に手を当てて、はあとため息をついている。
「行ってみましょうか?」
「待て。ニビでの噂を知っている可能性もある。もう少し様子を、」
グリーンがそう言いかけた時、護衛の1人がこちらに気づいた。
「お…おい!そこの者…止まれ!!」
レッド達と彼らはまだだいぶ距離があるというのに、護衛は異常なくらい警戒している。
「やっぱりニビシティでのこと知ってるんでしょうか?あんなに怯えるなんて…。」
「でも、仮に知ってたとしても、この距離で私達の顔判別できるのって相当すごいと思うけど。」
「ああ。おそらく、理由は別にある。」
「う……動くなよ!」
心なしか、護衛が自分達に向けている剣を持つ手がガタガタと震えている気がする。
すると、少女がツカツカと護衛に歩みより、パシンと頭を軽く叩いた。
「!?ひ、姫さ…」
「どこからどう見てもあの人達は山賊じゃないでしょ!山賊っていうのはもっと軽装備で、そしてなるべく顔を隠そうとするもんなの!」
「へ…?;」
「それぐらい見分けなさい!それと、外ではお嬢様って呼んでって言ったでしょ!?」
「あ……!」
「まったく…。」と、また少女はため息をつく。
「山賊って…。」
「というか今、姫様って言ったか?あの護衛。」
ひそひそとレッド達が小声で話していることに気が付き、少女はゆっくりと近づいた。
「お、お嬢様…!近づいては危険です!!」
「関わっちゃいけない人と、そうじゃない人ぐらい、アナタより私のほうが見分けられるわ。」
「そんな…!;」
少女はレッド達の前で止まり、スカートを軽く持ってふんわりと広げさせると同時にぺこりとお辞儀をする。
「ごめんなさい。無礼なことをして。」
少女は言いながら、レッド達の顔と格好を一通り見回す。
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