08 その目に映る僕らの姿は
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ゴホ!ゴホ…!なんだ!?このケムリは!!」
煙はあっと言う間に辺りにたちこめる。
「王!ご無事ですか!?」
「無事なわけがあるか!サッサとどうにかしろ!!」
「も、申し訳ありません…!;」
そうは言われても為すすべもなく、軍人達はただ煙が晴れるのを待った。
やがて、徐々に煙が晴れてうっすらと前が見えるようになった頃…
『それに、私はアンタが今までに働いてきた悪事を全部見てる。とりあえずそのおとしまえは、きっちりつけてもらうから。』
そんな放送が流れた。
声の主はもちろん王ではない。
どうやら録音したものを流しているようで、雑音が紛れ込んでいるがその言葉ははっきりと聞き取れる。
「何なんだ!これは!?」
「王、マイクはどうされましたか!?」
「知るか!気が付いたらなくなっていたんだ!早く見つけだせ!」
『ま、まさか殺そうとはしてない…よな?』
放送は止むこともなく、続いて流れたのは王の声だった。
「これは…!」
王はそこでようやく悟る。
これは昨日レッド達に城に侵入された時の会話だと。
『待て!早まるな!ワシは一国の王だぞ!』
『……私は、アンタを王だと認めたことは一度もない。』
『なんだと…!?』
「おい!!早く止めろ…!!」
「申し訳ございません!マイクが見つからなくて…。」
「なんだと!?このままだと…!」
最悪の事態を予想して、王の顔が一気に青ざめた。
『王は、民のことを一番に考え、常に国をよくしようと動くもの。民に慕われ、軍からは絶対の信頼をよせられる…そんな大きな器を持った人のことを言うの。』
「もういい!こうなったらスピーカーを壊せ!」
「ですが、この町のスピーカーは数十個もあって、」
「早くしろ!間に合わなくなる!」
「?…はい!」
軍人達は言われた通り、スピーカーを壊すために走り出す。
『…そんな器がアンタにある?』
『貴様…!』
『アンタは王にふさわしくない。』
「今から行って、間に合うわけないのに。」
そんな軍人達を見て、イミテはくすりと笑みをうかべた。
『ふざけるな!私こそが王に値するにふさわしい存在だ!』
「やっぱ昨日の会話、録音しといて正解だったな。それにしても、あんな簡単にボロだすとは思わなかったぜ。」
レッドも嬉しそうに言った。
「この国の王はそんなこと考えつきもしないよ。政治だって実質上、別の人がやってるし。」
「頭悪いのか?」
「というか、考えが子供で周りのことが見えてないの。」
「だから影で悲しんでる人がいても気づかない。」と、イミテは冷たく言う。
『だったらこの国はもっとよくなってるはず。侵入者や反乱者なんて1人もでないはず。…違う?』
「お、次だな。」
そう言ってニッと笑みをうかべたレッドの手にはレコーダーと、王達が必死に探しているマイクがあった。
『それは私のせいじゃない!侵入者がでるのは民がクズだから、そして、それを止める軍人が甘いヤツらばかりで使いものにならないからだ!!』
その言葉が流れ、しばしの間があって…民衆の1人が口を開く。
「クズ、だと…!?」
それを合図にするかのように、民衆は怒りに震え、それを露わにする。
「ふざけんな!お前にそんなこと言われる筋合いはねえ!」
「クズはお前だろ!」
「さっさと消えろ!用無しが!!」
それに加勢するように周りが「そうだそうだ」と一気に騒がしくなり、王のいるステージにわあ…と民衆が押し寄せた。
.