08 その目に映る僕らの姿は
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「すいませーん!ドア、開けてもらえますか?」
「?おう。」
突然、そんな声が聞こえてきてレッドが扉を開ければ、そこにはイエローが立っていた。
「ありがとうございます…!助かりました!」
そう言うイエローの両手は、スープの乗ったお盆でふさがっていた。
扉が開けられなくなってしまったのだろう。
「ごくろうさま、イエロー。」
イミテがそれをひょいっとイエローの手から取って、テーブルに並べていく。
「あ…ありがとうございます!あ、そういえば、グリーンさんが今さっき帰ってきましたよ。」
「朝食の準備も終わったし、ちょうどよかったね。レッドも今のうちに身支度整えちゃえば?」
「ああ。」
「はー!食った食った!」
「すごくおいしかったです。お料理上手ですね、ここの女将さん。」
手早く朝食を終え一息ついていると、グリーンが口を開いた。
「今日偵察に行って分かったんだが、ニビシティの王の遠征は中止になったらしい。」
「!…やっぱり。昨日あれだけの騒ぎがあれば止めざるを得ないよな。」
「それで、遠征中止の会見が今日開かれる。」
「今日か!ちょうどいいな。」
「うん。そうだね。」
レッドとイミテはそろって顔を見合わせる。
「何がですか?」
「ん?ニビシティに行くのが、だ。」
「ええ!?」
イエローが驚いて声をあげる。
「会見ってことは、いつもより町の警備が厳重になって、軍人もうようよいるはずですよ!?」
「第一、お前ら3人は顔が知られてる。ニビを避けて他の町に行くのが無難だ。」
ため息をついたグリーンに、レッドは得意気になって言う。
「人が多いほうが好都合なんだよ。な、イミテ。」
「うん。顔は何か羽織って路地裏通ればバレないと思う。」
「イミテさんまで…何しようとしてるんですか?」
「んー…仕返し、かな?」
イミテはイエローに穏やかな笑みとともに言った。
ニビシティ、中心部。
ここは市場が多く、昼も夜も常時たくさんの人で活気あふれている賑やかな場所。
そんな中心部の広場には、いつもはない組立式のステージが造られていた。
もちろん王が会見を開くためで、周りには人だかりができている。
『これより会見をおこなう。心して聞くように。無礼なものは牢に入れるからな。』
王の側近がつらつらとそんなことを話し、
『王、お願いします。』
王へとマイクを手渡した。
「うむ。」
王はマイクを受け取り立ち上がると、ステージの中央へと歩いて行く。
ピリピリとした空気が辺りに流れる。
王を暗殺しようとたくらむ者がどこにいるか分からないため、軍人にとっては一番警戒しなければいけない場面なのだ。
建物の陰からこっそりと様子を見ていたレッド達。
「今だよ。イエロー、投げて。」
「今ですか!?」
イミテが言うと、予想外のタイミングにイエローは驚きの声をあげた。
「うん。警備が厳重になった気がするけど、この場所はちょうど視覚だから。」
確かに王が動く度に軍人はいっそう警戒するのだが、それが逆に彼らに自分の持ち場を守ろうと必死にさせてしまい、周りに目を向けられなくなってしまうのだ。
いつもならイミテとタケシがそれをカバーしていたのだが…、今日はなぜかタケシの姿が見当たらない。
なんだか一瞬、嫌な予感を覚えたが「いきます!」というイエローの声に、すぐにこっちに意識を集中させた。
シュッとイエローが投げたものは爆発物で、小さな爆発音とともに白い煙がシュウウ…と出た。
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