07 おぼろげな記憶の中で
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「おい、ガキ。剣を捨てろ。そうすればイミテだけは見逃してやる。」
「!」
「レッド!絶対だめ!そんなの嘘に決まってる!」
「お前は黙ってろ。…なあ、遠征の話しだって本当だったろ?」
軍人の人数からして、今剣を捨てればもう絶対に逃げられない。
しかし、男が約束を守ってくれるのならば…イミテだけは助かる。
「……。」
彼を信じてもいいのだろうか…?
レッドは思わず黙りこんだ。
「王を人質に、逃げて。」
すると、イミテの凛とした透き通った声が部屋に響いた。
「イミテ、何言って、」
「それが一番賢い選択だよ、レッド。この男が約束を守るとは思えない。」
「だからって」
「このまま2人して捕まる気?…私は平気。自分で必ず何とかするから。」
イミテは穏やかな笑みをうかべ、レッドに言った。
その笑顔と、何かが重なる。
“これでよし!さ、森へお帰り。”
一瞬頭によぎったのは、薄桃色のハンカチを左足にまいた真っ白な一匹のウサギが、不格好ながらもぴょんぴょんとはねる姿…。
「っ!(なんだ、今の…)」
レッドは思わず頭をおさえる。
「……レッド?」
その様子を不審に思いイミテが声をかければ、レッドは彼女を少しにらんで言った。
「…イミテ、昔からそうだった気がする。」
「なにが…?」
「必ず自分を犠牲にするだろ!?他人のこと1番に考えすぎなんだ!」
「!そんなことない。」
「嘘つくなよ!イエローの時だって、自分を犠牲にしてまでイエローを逃がしたんだろ!?」
「あれは私が油断してただけで、自分を犠牲にしたんじゃない!」
「…っ!なんで…!」
レッドはいかにも納得がいかないといった様子だ。
「おいおい。仲間割れか?さっさと答えを聞かせてもらおうか、ガキ。」
ニヤニヤと笑って言う男に、レッドはイミテのほうにチラリと目をやって言った。
「……イミテ。もう少し自分のことも大事にしろ。」
レッドが剣をその場に落とし、カランカランと金属の音がどこかむなしく部屋に響く。
「ククッ…、ハハハ!」
「笑ってないで、さっさと、」
「やっぱりガキだなあ、お前。本気で俺がそんな約束守ると思ったのか?」
「な……!」
「動くな!」
男がイミテに突きつけている短剣を少し動かし、慌てて剣を取ろうとしたレッドの動きを止めた。
「いっ……」
その拍子に剣の刃があたってしまったようで、イミテは軽く顔をゆがめる。
男はその様子を見て「おっと、悪い。」とわざとらしい不気味な笑みをうかべた。
「(くそ…!)」
「お前ら、手錠を。」
男に指示された軍人達はジリジリとレッドに近づく。
「!」
「っ…!(レッドは身動きがとれないし、いちかばちか足払いでもかけてみるしかないか…)」
多少の怪我は仕方ない、とイミテが攻撃体勢にうつろうとした時…
ドン!!
そんな大きな爆発音とともに、部屋の中はあっという間に白い煙幕に包まれた。
「っ…!」
何も見えない状況の中、男は頬に鋭い痛みを感じ、とっさにその場から距離をとる。
「(どこだ…!?)」
男はその気配を探ろうとジッと集中する。
しかし、
「お前ら何をしている!私に危害がくわわったら承知しないからな!」
「(こんな時に…)……窓を開けろ!早く!!」
そんな王の言葉に内心苛立ちながらも、他の軍人に指示をだした。
窓が開き、煙が完全に晴れた頃……
「!くそ!あいつら…!」
そこにレッドとイミテの姿はなかった。
男は頬からでた血を腕であらく拭うと、短剣をガッと壁に突き刺して言う。
「なんとしても見つけ出せ!いいな!」
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