06 透きとおる音色に
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「あっ…。」
イミテはその中から一つ、手にとる。
薄オレンジをベースとしたパレットに、鮮やかな赤い布のリボンと小さな可愛らしいガラス玉がくっていている。
少々派手な気もするが、これなら今着ている服にも合いそうだ。
軽く揺らせば、ガラス玉がほのかにぶつかり合って、シャランと小さな音が響く。
「(キレイな音…)」
耳障りではない、透き通るような音だった。
「おっ、いいじゃん。それ。」
レッドがイミテの手元をのぞきこんで言う。
「ね。気に入っちゃった。買ってくる。」
「あっ、イミテ!」
「ん?」
レッドはイミテを呼び止め、彼女の手から髪留めをひょいと取り上げた。
「へっ…?」
「俺が買ってくる。」
「えっ…、いいよ。自分のものだし。」
「いいって。薬とか武器とか全部イミテがお金出してただろ?これぐらいは甘えとけって。」
レッドはレッドなりに、イミテのことを気にしていたのだ。
「でも…、」と納得いかなそうなイミテをよそに、レッドはレジに向かった。
「はい。イミテ。」
「あ、ありがとう。」
早速店をでてレッドは髪留めをイミテに渡す。
「せっかくだから今つけるか?」
「そうだね。じゃあ鏡のあるとこに…」
「かして。」
レッドはイミテの髪をスッと耳にかけ、髪留めをつける。
「!//」
驚いてイミテは思わず頬を赤らめる。
「これでよし、と。おっ、やっぱ似合うな。」
「そ、そう…?//」
レッドはそう言っていつもと変わらない笑顔を見せる。
彼の言うとおり、鮮やかな色合いの髪飾りは緑色の髪によく映える。
「帰ろうか!」
「ああ。」
レッドに気づかれないように、まだほんのりと熱い頬に手をあてて、イミテは歩き出す。
もう日は沈みかけていて、街並みは夕日色に染まっていた。
「…!」
急にピタリとイミテの足が止まって、シャランと髪飾りの音が鳴った。
その優しい音には似合わないぐらい、イミテは厳しい表情をしていて。
「イミテ…?」
思わず彼女の名前を呼んだレッドだが、返事は返ってこない。
不思議に思ってイミテの視線をたどれば、軍服を着ている男がいた。
「(軍人…!)」
彼は明後日の方向を向き特に何をするわけでもなくゆらりと立っている。
こちらには気づいていないのだろうか。
「イミテ!気づかれる前に引き返そう!」
レッドは小声でそう言い、イミテの腕をつかんで元来た道を歩きだそうとするが…、
「たぶんもう、気づいてるよ。」
イミテはそう言ってその手をするりとかわした。
「え…?」
「そういうやつだから、アイツは。」
次いで、かついでいた弓と矢を手に取る。
そして、スッとそれを構えた。
「何し…」
レッドが声をかける暇もなく、パシュッと矢が放たれる。
矢は寸分の狂いもなく、男の目の前に迫るが…、カッという音がして矢は真っ二つに折れた。
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