06 透きとおる音色に
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「イミテさん。お金足りましたか?」
買ったものを袋に全て詰め終わった頃、ちょうどイエローがイミテに駆けよりそうたずねた。
「うん。」
「イミテ、グリーン。さっき何話してんだ?」
「ん?別に特には。…ね?」
「ああ。」
「ふーん…。」
二人の返事にレッドはまたしかめっ面になった。
一通りの物を買い終え、今は帰路を歩いている4人。
「あ。」
その途中、イミテが声をあげた。
「?どうした?」
「矢、買うの忘れてた。あと少ししかなかったんだよね。戻って買ってくる。」
「今からか?日が暮れると、この道真っ暗になるぞ。」
「あ、じゃあついでにランプも買ってくる。」
「…そういう問題じゃない。俺が一緒に行く。」
「1人で平気だって。」
「昼間も言っただろ。1人になるのは避けろと。レッドとイエローは先に戻ってろ。」
「行くぞ。」と言ってグリーンは歩きだす。
「(相変わらず優しいなあ…。ちょっと不器用だけど。)」
イミテは軽くほほえんで、グリーンの後を追おうとした。
……が、
「……?」
腕をつかまれ、必然的に止まり後ろをふり向く。
「レッド?なに…?」
イミテの手をつかんだのはレッドだった。
「俺が一緒に行く。」
「え?」
「1人にならなきゃいいんだから、誰が一緒に行ってもいいんだろ?」
「?まあ、そうだけど…。」
「よし!じゃあ決まりな!グリーン!イエローのこと頼んだぞ!」
「わ!ちょ、危な…」
レッドはイミテの手をひいて、勢いよく走りだす。
その様子を呆然と見つめるイエロー。
「レッドさん、突然どうしたんでしょう…?」
「(…無意識の行動、か。)」
「グリーンさん?」
「気にするな、戻るぞ。」
グリーンはほんの少し、不機嫌な表情になった。
町に戻ってきたイミテとレッド。
二人はさっそく武器屋に入った。
「うわ…。矢って種類がいっぱいあるんだなー。」
レッドは棚いっぱいに並べられた矢の種類の多さに唖然としている。
「矢の形とかで飛距離とか命中率が変わってくるからね。」
「ふーん。…イミテの使ってるやつ、あったか?」
「あっ、うん。これ。」
イミテは矢束を一つ手に取る。
それは、端についている矢羽の色が淡い薄黄緑色に染色されていた。
「へー!なんか、その矢羽、綺麗な色だな。」
「…うん。(やっぱり、忘れちゃってるか。)」
イミテは少し悲しそうに笑って、会計に向かおう足を進める。
「…あ!」
レッドが突然声を上げたため、思わず立ち止まった。
「どうかした?」
イミテが振り向くと、レッドは何やら楽しそうに笑っている。
「同じだ!」
「へ?」
「イミテの髪の色と、同じ。その矢羽。」
「……!」
イミテは思わず、目を見開く。
実はこの矢羽は、まだ彼らが小さい時、レッドが選んだもので。
“いっぱいあるんだね、矢って。どれにしようかなー…”
“あ、これいいじゃん!”
“えー?なんか地味じゃない?もうちょっと濃い色のほうが目立ちそう。”
“なんでだよ。イミテの髪色みたいで、すげーキレイなのに!”
そう―…あの時も同じことを言っていた。
レッドにそう言われたのがなんだかすごく嬉しくて、それから彼女はずっとこの矢を愛用している。
「(記憶がなくても、心のどこかに染みついてるのかなあ…)」
「…イミテ?」
「買ってくるね。」
これが偶然でなければいいのに、とイミテはまた悲しくほほえんだ。
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