06 透きとおる音色に
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それから順調に買い出しは進んでいって、今レッド達は薬や武器を選んでいる真っ最中だ。
「消毒液に包帯に、化膿止めに…よし、大体そろったか?」
レッドは買い物カゴに入っているものを指折り確認してそう言った。
「待って。あと、イエローの護身用の短剣も買わないと。」
「え…!?僕、別に武器いらないですよ?武術もあるし、なにより使いこなせるかどうか…。」
自信なさげにうつむいたイエローの頭をイミテが優しくなでて続けた。
「使う可能性が低くても念のため武器は持っておいたほうがいいよ。短剣の使い方ならグリーンに聞けばいいし。」
「グリーンさんに…?」
「うん。グリーンは教え方がうまいから。…いいよね?グリーン。」
グリーンは伏し目がちに「…ああ。」と小さく返事を返す。
「どれにしようか。……あ、これとか軽くていいかも。イエロー、持ってみて。」
「あ、はい。」
イミテに促され、イエローは柄の部分にキレイな装飾のほどこされた短剣を手に取る。
たしかに小さくて軽量化されていて、ギラリと光る刃からして切れ味もよさそうだ。
「どう?」
「いい感じです。…でも、これ、けっこう高いですよ?;」
イエローの言う通り、その短剣は他のものに比べるとだいぶ値がはるようだ。
「やっぱりいい物が高いのは仕方ないよ。買ってくる。」
「あ……」
イミテはひょいとイエローの手から短剣を取り上げると、何のためらいもなくそれを買い物カゴに入れた。
そしてそのままレジに向かう。
「あれ、全部合わせると結構な値段になるよな?」
「そうですね…。イミテさん、お金足りるんでしょうか?」
「俺、ちょっと様子みて…、」
そう言ってレッドが追いかけようとしたが、グリーンが「お前達はここにいろ。」と言って少し足早にイミテの後を追ったため、仕方なく足を止めた。
「イミテ。金は?」
「え?」
「足りるのか?そんなに買って。」
「ああ、うん。平気。」
その言葉通り、イミテは財布からお金を出し、普通に代金を支払っていた。
チラリと見えた財布の中にはまだかなりのお金が残っている。
買った薬や武器をてきぱきと袋にしまうイミテを、グリーンはジッと見る。
その視線に気づいたイミテは軽く苦笑した。
「…何か聞きたそうだね。」
「……なぜそんな大金を持ってるんだ。城で働いていた時にかせいだ金か?」
グリーンの言葉に、イミテは「まさか。」と笑った。
「軍人としての報酬は全くもらってないよ。政府や王は能力者を人として見てないから…。道具として利用してるだけ。」
「……。」
「まあ、城の外に出る許可ももらえたことないし、武器も必要なものは与えられてたから…生活に不便はなかったけど。」
「でも…」とイミテは、いたずらっ子のような笑みをうかべて続けた。
「あんなに利用されて無報酬じゃ理不尽だと思ったから、ちょくちょく王のお金とか財宝とか盗んでためこんでおいたんだ。」
「…それ、バレたらただじゃすまないだろ。」
「うん。でも、バレない自信があったから。これでも王の第一家来だから、いつ王が外出するとか、警備の配置とか全部分かってたし。」
「全く…、お前はいつもいつも無茶しすぎだ。」
そう言ってグリーンはイミテの頭を優しくなでた。
イミテは呆然とその一連の動作を見つめる。
「……。なんだか意外。怒られるかと思った。」
「怒る理由、別にないだろう。」
グリーンがそう言うと、イミテは嬉しそうにほほえんだ。
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