05 思い出せるのは残酷な過去
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『グリーンへ。
急にいなくなってごめんね。
もうマサラには戻れないと思うから、お父さんとお母さんのお葬式あげといてください。
見送れなくてごめんなさいって、言っておいて?
さっきはさんざん言ったけど、私、やっぱりマサラタウンが好き。
レッドとグリーンに会えたから。
だから、
大好きなこの町を守る選択をします。
一足先に旅に出ます。
今までたくさん、ありがとう。』
一文一文が、グリーンに重くのしかかる。
「なんで…!!」
彼の手のひらの中で、ぐしゃりと音をたてて手紙が丸まった。
“3人でいろんなところを旅したい!それで、たくさん思い出をつくるの!”
……半ば冗談、半ば本気で約束したのに。
数日後。
グリーンは木の上に登って、ただぼんやりとしていた。
頭に浮かぶのはイミテのことばかり。
あの後すぐさま追いかけようとしたのだが、どこに向かったのかすら分からなかったため、どうすることもできなかったのだ。
今なにをしているのか
あの男と一緒にいるのか
ちゃんと、生きているのか
「(あの時、あの男と2人きりにしなければ…イミテは―……)」
後悔してもどうにもならないことなんて、グリーン本人が一番よく分かっている。
しかし考えずにはいられないのだ。
イミテの言葉通り、一昨日彼女の両親の葬儀も終えた。
棺にイミテのものを入れようとして彼女の家に入ったのだが、ありすぎて逆に困るぐらいだった。
「(アイツ、弓矢だけしか持って行かなかったのか…)」
まるでマサラでできた思い出を捨てようとしているようにも思える、その行動。
イミテの強い決意が伝わってくるようで、余計にむなしく感じた。
グリーンはふと、上を見上げる。
青い空に、うっすらとした白いおぼろ雲。
ああ、今日の空は、
「(イミテが好きな空だ―…)」
そんなことを考えていた彼の元に、とある吉報がまいこむ。
「グリーン!」
彼を呼んだのは、オーキド博士だ。
「レッドが目を覚ました!早く来るんじゃ!」
「!」
オーキド博士が慌ただしく叫ぶと、グリーンは急いで木から降り一目散に駆け出した。
バタンっ!
玄関から入り、わき目もふらずに家の治療室の扉をあけると、ばっちりとレッドと目があう。
「レッド!」
「!グリーン!」
親友の登場に初めはきょとんとしていたレッドの顔は、みるみる明るくなっていく。
「お前、大丈夫なのか!?怪我は!?」
「ああ。まだちょっと痛むけどな。ハハ……」
そう言って苦笑いを浮かべるレッド。
思っていたよりも元気そうな彼の様子にグリーンは安堵のため息をつく。
「あのさ、グリーン。聞きたいことがあるんだけど。」
「…ああ。(イミテのこと、だろうな…)」
レッドは顔をしかめて、グリーンに聞く。
「何で俺、こんな怪我してんだ?」
それは予想外の言葉。
「覚えてない…のか!?」
「うーん、なんとなくしか。」
「お前は、イミテをかばって「グリーン。」
レッドが、さえぎる。
そして、言った。
「イミテって、誰だよ?」
「!レッド!お前…!」
もう君の記憶の中に
僕はいない
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