00 知られざる能力
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薬草つみをするため山に来たレッド。
「これぐらいあればいいだろ。」
ここ最近晴れの日が続いていたため、目当ての薬草はそこらじゅうに生えていて、簡単に手に入れることができた。
レッドは今更になって入れ物を持って来ていなかったことを思い出し、仕方なくそれらをポケットにつっこんだ。
ポケットの中が泥だらけになるかもしれないが…、まあいい。平気だろう。
「ん……?」
日がくれる前にさっさと帰ろうと思っていたレッドだったが、ふと足をとめる。
なんとなく、気になることが1つ…。
「小動物がいなくなった…?」
先ほどまでちらほらと顔をのぞかせていたリスやウサギが、急に1匹もいなくなっていた。
どこかに隠れたのだろうか。
レッドはとっさに近くにあった木に登り、身を潜める。
「(マサラの小動物が隠れるのは…よそ者が進入してきた時だけだ……!)」
それは自然がいっぱいのマサラタウンで育ったレッドだから分かること。
そして、その予感は見事にあたってしまうこととなる。
しばらくしてレッドが目にしたのは、ぞろぞろと歩いている男達。
10人…いや、もっといる。
桧皮色の服を着ているから…囚人だろう。
手には手錠がついているものもいる……間違いなく、脱獄者だ。
彼らはレッドのいる木に近づいたため、だんだんと会話が聞こえてきた。
「ここがマサラタウンか?」
「ああ。この先に人が住んでいるはずだ。」
「集落についたら、食料を奪って逃げればいいんだな?」
「逃げる必要はない。マサラは田舎町だ。何日か滞在する。もし追いつかれたら人質をとればいい。」
「マサラの連中がはむかってきたらどうする?」
「その時は殺す!」
男達は不気味な笑みをうかべていた。
「!(あいつら……マサラを襲うつもりだ!)」
今すぐ対処しなければ、と思ったレッドだったが…、相手が多すぎる。
「(先回りしてグリーンや町の皆に知らせたほうがいいな…)」
そう考え、気づかれないように木から降りようとした時のことだった。
ズルリと足がすべり、体のバランスが崩れる。
「……っ!」
なんとか片腕で枝をつかみ、自分の体を支えることができた。
男達にも気づかれずにすんだようだ。
「(ふう…あぶねえ…;)」
ほっとしたのもつかの間、レッドのポケットからさっき摘んだ薬草が滑り落ちた。
それはヒラヒラと舞い、1人の男の頭の上に落ちる。
「!?誰かいるぞ!この木の上だ!!」
男の一声でレッドのいる木はあっという間に囲まれてしまった。
「降りてこい!」
「くそ…。」
逃げられない、となると戦うしかない。
レッドは愛用の剣を手に、バッと木から飛び降りた。
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