05 思い出せるのは残酷な過去
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「はあ、気が済んだか?人の話しは最後まで聞かなきゃだめだぞ?クク……死ぬから関係ないか。すぐに楽にしてやるよ。」
男はゆっくりと引き金に手を伸ばす。
「イミテ!逃げろ!!」
グリーンがイミテを庇うように前にでる。
「いやだっ……!グリーンどいて!いや、やめて……!!」
レッドのようにグリーンも自分を庇って犠牲になってしまうのかと思うと、イミテは涙が止まらなかった。
どんどん大切な人達が殺されていく恐怖。
自分だけが男を止めることができる可能性があるのに、何もできない不甲斐なさ。
まだ、震えは止まらない。
「(私…、弱すぎる…よ、)」
いろんなものが彼女にのしかかる。
「もう、嫌…、こんなの……嫌、だ……」
(嫌だ、嫌だ)
(もう誰も、傷つかないで)
「やめてっ…!!」
思わず大声を出したイミテ。
その声に反応するかのように一本の矢が光った。
それはさっき外して、壁に刺さったもの。
「なんだ!?」
ビュッと矢から勢いよく数本の蔓がでる。
「!?」
その蔓はあっという間に男に巻きつき、動きを封じた。
「…なに…、アレ…、」
イミテ自身、まさかそれが自分によるものだなんて分かるはずもない。
ただ確かなのは、男が動けなくなって一安心ということだけ。
「!レッド…!」
彼女はまだ震えている足をなんとか動かしてよろけながらも、レッドの元へ向かう。
「う……、」
レッドは相変わらず苦しそうだが、ちゃんと息はしている。
「早く…!早く手当て、しなきゃ…!」
「おじいちゃん!治療の準備を!」
焦るイミテに変わって、グリーンがオーキド博士こと長老に向けて大声を出す。
オーキド博士は生き物の生態や薬の研究をしているため、医療関係に富んでいるのだ。
「イミテ…、お前能力者「早く!!」
「あ、ああ……」
グリーンに急かされた長老は、一旦話しをやめ急いで家に向かった。
「俺達も…手伝う!」
「レッド君を運ぶのはまかせろ!!」
戸惑っていた町の人々も、やがて慌ただしく動きだす。
マサラの人々は皆、長老の家に向かって、この場に残ったのはイミテとグリーンと男だけ。
「イミテ、俺がコイツを見張ってるから、お前はレッドのところに…」
グリーンの言葉は途切れた。
「………っ、」
イミテが大粒の涙を流し、泣いていたから。
イミテの視線は、ピクリとも動かない父と母に向けられている。
「イミテ……」
「お父さんも、お母さんも…、もう帰って…こないの?昨日まで…普通に話して…、普通に…笑ってたのに…?なんで…?」
(当たり前が、)
(一瞬でなくなった)
「…どうして?…何も悪いことしてないのに…無駄死にしなきゃいけないの?」
「…っ!」
イミテの表情は切なくて、儚くて。
このままだと彼女まで消えてしまいそうで。
グリーンは思わずイミテの手を引きそばに寄せた。
そっと彼女の頭に手をやる。
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