05 思い出せるのは残酷な過去
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「くっ…、」
レッドはその場に片膝をつく。
「いや…!いやだ、レッド!レッドまでいなくならないで!!ねえ!お願い…っ、」
「大丈夫…だって。このくらい…っ、」
レッドは苦痛で顔を歪めながらもイミテが不安にならないよう笑いかける。
「立てるか!?」
とにかく安全な場所に移動させようと、グリーンはレッドの片腕を自分の肩に乗せ歩きだす。
やっとの思いで近くの木にレッドを寄りかからせ、イミテの方に視線を戻すと……、彼女は弓を構えていた。
「イミテ!これ以上挑発するな!」
そう言っても、イミテは弓をおろそうとしない。
「……グリーン。この人、グリーンのこと殺そうとしてた…!」
「…はっ?」
「レッドを運ぶグリーンのこと、銃で狙ってたの!」
もう1度強い口調でイミテはグリーンにその事実を伝える。
まさか…とグリーンが男に目をやると…、
「まあ、お前が弓で狙ってるから撃てなかったけどな。……クク。」
男は、笑っていた。
「…きっとこの町の人達のこと、虐殺する気だ…!」
「なん、だと…?」
「人聞きの悪いこと言うな。虐殺なんてしねえよ。俺は王に命じられたんだ。」
男は、また笑って言う。
「……年寄りや子供は殺して、働けそうな奴らは売り飛ばせ、ってな。」
「何だって!?」
「殺されるのかよ!?」
「キャー!!」
自分に被害が及ばないようにとずっと息をひそめて様子をうかがっていた町の人達が、いっせいに騒ぎ出す。
「うるせえんだよ!」
――バン!!
また銃声が響く。
銃は空に向けられていたので、幸い誰も怪我はしていない。
「次はどうなるか分かってるな!?黙ってろ!!」
震え上がり静かになった町の人を見て、満足気な顔をする男。
そして視線をイミテとグリーンに戻す。
「お前らは丁度微妙な年齢でな。殺しても生かしてもいいんだが…反抗してきたから殺すことにした。悪く思うなよ?」
また銃口が静かに向けられる。
「…チッ!イミテさがってろ!」
グリーンは一歩前にでると腰にささっている剣をぬいて構えた。
「おいおい…銃に剣で対抗しようっていうのかよ?」
「……。」
剣は近づかないと攻撃できない。
いくらグリーンが剣術がうまいといっても、近づいている間に、銃で撃たれてしまうだろう。
それはこの場にいる誰もが気がついていること。
だから…
「グリーンこそ下がって!!」
もう自分しか攻撃できる者はいない、と、イミテはグリーンの前にでる。
「またへなちょこな矢で俺を倒す気か?まっ、せいぜい頑張……」
男の話が終わらないうちに、イミテは矢を放った。
でも先ほど同様、男にあたることはなく、男から少し離れた壁に刺さる。
やっぱり自分の手を見るとまだ震えていて……。
「もう…!!止まってよっ……!!」
イミテは自分の腕を強く叩いて、やりきれない気持ちをあらわにする。
あんなに練習して、やっと上達したと思っていた、弓矢。
その努力のぶん、大切な場面で力が出せない自分が腹立たしかった。
.