05 思い出せるのは残酷な過去
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――パシュ!
音につられて目を開けると、頭の上のリンゴを矢がつらぬいていた。
それも真ん中を。
「す、すげえ…」
「上達したな。」
レッドとグリーンに感心され、イミテはえへへと笑う。
「私、もっと練習して上手くなるから!そしたら旅にでようね!」
「あきらめてなかったのか…。」
「もっちろん!」
「いいじゃん、楽しそうだし!」
「何年先になるか分からないけどな。」
「もー!そのためにもたくさん練習するんだってば!」
イミテは少しすねたように口をとがらせながら言った。
「レッドもグリーンもちゃんと修行してる?」
「当たり前だろ?毎日してるさ!なっ、グリーン。」
「俺はな。お前はどうだか知らんが。」
「~っ!いちいち嫌みな奴だな!」
「また喧嘩?喧嘩するほど仲がいいって、レッドとグリーンにピッタリだよね!」
イミテは笑いながら言うが、
「「どこがだ!」」
と、2人から同時につっこまれてしまった。
そんないつもと変わらない穏やかな時間を過ごしていた3人。
しかし…
「「「!」」」
なにかの音に気がついて、表情が一変した。
「何、今の音…」
「町のほうから…、だよな。」
レッドとイミテは顔を見合わせ、そしてグリーンを見る。
グリーンにはその音の正体がはっきりと聞き取れたらしく…、
「銃声だ!行くぞ!」
そう勢いよく言って、一目散に駆け出した。
イミテとレッドもあわてて後に続く。
町についた3人は唖然とした。
「皆、いない…?」
いつもはにぎわっているこの町だが、今は人っ子一人いない。
真っ昼間だというのに妙に静まりかえっている。
「何、この臭い…。」
そして嫌でも鼻につく火薬の匂い。
そんな状況に彼らの不安は増すばかり。
「!あそこ!」
イミテが、町の広場に人だかりができていることに気がついた。
急いで駆け寄る3人。
「皆、大丈夫!?」
「さっき銃声の音が…」
「動くな!!」
聞き慣れない勢いのある声に、彼らは人だかりにたどり着く数十歩手前でピタリと足を止めた。
すると人だかりの奥のほうから、1人の男が現る。
少し薄汚れたエンジ色の軍服に帽子、背中には機関銃を背負っていて、おまけに片手にも銃を持っている。
一目見ただけで軍人だということが分かった。
「やあやあ、驚かせてごめんよ。私は隣町の王の家来だ。」
男はさきほどとは打って変わって、優しい口調で笑いながら話しかけてきた。
しかしその笑顔は温かみを感じられないような、むしろ冷酷な笑みだ。
「よそ者が何の用だよ!?」
その変わりぶりに余計警戒心が増し、レッドは思わず大声をだす。
「やめるんじゃ!レッド!」
そんなレッドを一喝したのは、この町の長老だった。
「オーキド博士…」
よく見れば、彼の頬には傷ができている。
それもかなり深い。
そこからあふれ出た血は、首元をつたって彼の服を汚していた。
「怒らせてはいかん!皆、殺される…。」
そう言って長老はやりきれない、辛そうな表情を見せた。
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