05 思い出せるのは残酷な過去
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「よーし!旅するためにも、もっと強くなるぞ!」
レッドはそう言いながら、剣を太陽に照らした。
彼の思いに応えるかのように、ギラリと剣に当たった光りが反射する。
「私も!強くなる!」
「「!?」」
思ってもいなかったイミテの言葉に、レッドとグリーンは驚き彼女を凝視した。
「いやいや!イミテはそうやって花つんでるほうが似合ってるって。」
「お前…、剣とか持ったことないだろ。」
イミテは草花や動物が大好きで、武道や剣術など習ったことがない。
なにより心優しいため、小さな生き物すら殺生できないような性格なのだ。
「ちょっと2人とも!バカにしないでよねっ!」
イミテはビシッとそう言うと、さっきからつんでいた花を木の根元に置く。
そしてそのまま後ろに回りこみ、何かを持ってレッドとグリーンのもとに駆け寄った。
「なんだそれ?」
「弓矢か…?」
「あったりー♪」
イミテは弾む口調でそう言うと、弓を構えてひく真似をする。
「お父さんがね、私が大きくなったから、弓矢の使い方教えてくれるんだって!」
「へー!イミテ、前からやってみたいって言ってたもんな!」
実はグリーンと出会うより先に、レッドとイミテは友達だったのだ。
お互いの両親同士も仲がよく、ある程度のことは分かり合っている。
「イミテのお父さん…弓矢がうまいのか?」
「うん!どんなに遠くにあるものでも命中させちゃうんだよ。」
「そうそう。俺も前に1回見たことあるけど、すごかったぜ!グリーンも後で見に行って見ろよ。」
「…ああ。」
2人の様子を見て、イミテは嬉しそうに笑った。
「よーし、そうと決まれば誓いをたてようぜ!」
「誓い…?」
「ああ!手、重ねて。」
「?うん。」
ワケも分からず、イミテは言われたとおり手をかさねる。
「グリーンも、ほら。」
「………。」
3人の右手がしっかりと重なりあったのを見て、レッドは大声をだす。
「誰にも負けねえぐらい、3人で強くなるぞー!!」
「「オー!!」」
イミテは左手に握りしめていた花を、空高くほうり投げた。
必然的に花はヒラヒラと舞いながら落ちる。
「えへへ。祝福の花ふぶき!」
「おー。やるじゃん、イミテ。」
「はあ…。」
呆れたようにため息をつくグリーン。
でも、その表情はなんだか満更でもない様子で。
レッドとイミテもそれを見て嬉しそうに笑った。
それから数ヶ月後。
「ちょっとちょっと!こんなことしなくても…なっ?イミテ?」
なにやら騒いでいるレッド。
彼の頭の上には真っ赤なリンゴがちょこんと乗っていた。
「大丈夫!絶対はずさないから!信じて?」
弓を構えてそう言うイミテ。
どうやらイミテはリンゴだけに矢を当てようとしているらしい。
たじろぐレッドを見て、グリーンは隣でさぞ愉快そうな笑みをうかべていた。
レッドはそんなグリーンをにらんだが、イミテに「動かないで!」と言われしぶしぶ視線を元に戻す。
「よーし…」と言うと、イミテは数十メートル離れたところからギリッと矢を引いた。
「おい、マジでやんのか…!?」
「大丈夫だって!」
「レッド、お前は黙って目をつむってろ。」
「人事だと思って…!分かったよ!信じるからな、イミテ!」
「うん!」
レッドはギュッと目をつぶる。
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