04 動き出した歯車は
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「……ん。」
翌日、1番最初に目を覚ましたのはイミテだった。
どうやら昨日、城への侵入の計画をたてながら寝てしまったらしい。
周りを見回せば、まだ皆寝ている。
レッドは座布団を枕にして、グリーンは腕組みをしながらうつむいて、イエローはソファーに体を預けて。
まるでそれぞれの性格がでているかのような寝方に、思わずふきだしそうになる。
時計を見ると夜中の3時で、もちろん外はまだ暗い。
「(レッドとグリーンが、ここにいること…。本当に奇跡みたいだ…。)」
嬉しさになんだか胸が高ぶる。
気持ちを静めるため少し風にあたってこようと、イミテは部屋を出た。
皆が起きないように静かに扉を閉めたつもりだったが、
「……、」
1人、物音で起きてしまった人がいた。
宿屋の屋上(…と言っても本当に簡易なコンクリート造りの場所)に来たイミテは大きく背伸びをする。
「(気持ちいい…)」
夜風は肌寒かったが逆に心地よく感じられる。
柵に体を預けて、目を閉じた。
そんな彼女に「「イミテさん!」と声をかけて近寄ってきたのは、イエローだった。
「イエロー?ごめん、起こしちゃった?静かに出てきたつもりだったんだけど。」
「いえ。平気です。」
イエローはイミテの隣に並んで座った。
「何してたんですか?」
「ん?風に当たってただけだよ。」
イミテは柵のほうに顔を向け、外の景色を見ながら続ける。
「こんな景色見るの久しぶりだなあ…。」
「え?」
「ずっと城にいたから、こんなふうに周りに木々があって、ふもとに町が見えるの…なんだか変な感じがする。」
イミテはくすっと笑った。
「そうですね…。」
イエローも静かに答える。
彼女も軍人となって城で生活していたから分かるのだ。
ニビシティの城は城壁が邪魔して、外の景色がよく見えない。
城の上の階に登れば町は見えるが、ニビシティは石の町として有名なぐらいコンクリート造りのものが多い。
森などの緑は、全くと言っていいほどないのだ。
「やっぱり緑があると安心する。城とはにおいが違うね。」
「イミテさんの故郷も、森があったんですか?昼間、話しにでてきた…マサラタウンでしたっけ?」
「うん、町のはずれにあった。でもマサラのほとんどは平地で田舎町だったよ。草原とか丘とか花とか、自然がいっぱいな町だった。」
目をつむればすぐに思い返せる。
白くて、キレイな…、それでいて、儚い町だった。
「それで、どうしたの?イエロー。」
「え?」
「何か話しがあったんでしょう?」
遠まわしに聞こうと思っていたのにイミテにあまりにもストレートに言われて…、イエローは戸惑いながらも真っ直ぐとたずねた。
「聞きたいんです。レッドさんとグリーンさんと、そしてイミテさんに、何があったのか。」
どこからか風が吹いてきた。
「……。」
「図々しいのは分かってます。でも、僕も何か力になれることがあればいいなあって思って…」
「イエローは…もうじゅうぶん力になってくれてるよ。現に私が今ここにいるのは、イエローのおかげだし。」
「いえ、僕は何も…」
「ありがとう、イエロー。」
「…はい!」
イエローは嬉しそうに笑った。
やがてピタリ、と静寂があたりを包む。
「……少し長くなるけど、いい?」
「!はい!」
ふわりふわり、と風は2人の髪をなびかせる。
……やっぱり夜風は少し冷たい。
少し、過去をのぞいてみようか?
逃げたくても、もう
逃げられない
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