04 動き出した歯車は
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「マサラを出てから何してたの?」
「旅してた。」
「旅…」
「世界を変えるための旅だ。」
レッドは穏やかに笑って言った。
イミテは、そういえば脱獄の時レッドがそんなことをちらりと言っていたなあ…と思い出す。
“俺が、変えてみせる。この世界を。”
真っ直ぐな、言葉だった。
「まあ、旅を始めてまだ数週間しかたってないけど。」
「具体的に何するの?」
「とりあえず、気になることが見つかったからまずはそれを調べようと思ってる。」
「気になること…ですか?」
イエローが首を傾げてたずねる。
「ここにくる途中、トキワの森ってとこを通ってきたんだけど…、一面焼け野原だったんだ。森だった面影なんて全く感じられないほどにな。」
「(森が…。トキワの森って…王が妙に気にかけてた気がする…。)」
「町で聞きこみしてたんだけど特に有力な情報はなかった。グリーンは?何か分かったか?」
「いや。…ただ、地位が上の奴らに聞いたらあからさまに表情が変わって、何か隠している様子だった。」
「口止めされてるってことか…」
「あのさ、それ…もしかしたらニビの王が、「あの!」
イミテの言葉をさえぎるように、珍しくイエローがガタンと椅子から立ち上がって言った。
「…トキワの森は、僕の故郷です。」
「じゃあ、やっぱり…、」
「はい。燃やしたのはニビシティの王です。」
「そっか…。」
その場が重い沈黙につつまれる。
「だったら…、その王をこらしめに行くか!」
沈黙を破ったのはレッドだった。
「レッド。軽率なことを言うな。今日抜け出したばかりの城にまた侵入する気か。」
「でもそのままじゃ悔しいだろ?イエローは故郷を燃やされたんだぞ?」
「…レッドさん。気持ちは嬉しいけど、グリーンさんの言うとおりです。今は復讐より、皆無事に逃げ出せたことが嬉しいですから。」
そう言ってイエローは笑ったが、その笑顔はどことなく元気がない。
「…イエロー。それ、本音?」
そのことをイミテは見破っていた。
彼女はイエローがどれだけ王を憎んでいたか、復讐をするという決意が固かったかを知っているから。
「私はレッドに賛成。あの王は1度痛い目みないと絶対にまた同じことを繰り返す。きっと犠牲者がもっと増える。」
「でも絶対に警備とか今まで以上に厳重になってますよ…!」
「そうだとしても上手くいけば新しい情報が手に入る可能性は高いし、やる価値はじゅうぶんあると思う。」
「そうそう。それに、このメンバーで負けるわけないじゃんか!」
レッドはニッと明るい笑顔とともに言った。
「イエローはどうしたい?」
「僕は……」
「イエロー。本音、ね?」
イミテの優しい笑みに後押しされて、決心がついたようにイエローは顔をあげた。
「僕も、今度こそ仕返しがしたい!…です!」
それを聞いて、レッドもイミテも嬉しそうに笑った。
「じゃあ明日、」
「…おい、実行するとしたら明後日だ。明日は食料や医療品の買い出しをしたほうがいい。」
「え…!?」
イエローが驚いてグリーンの方を見る。
その様子にグリーンは「なんだ?」と顔をしかめた。
「いえ…グリーンさんも手伝ってくれるんですか?」
「ひどいなー、イエロー。グリーンだけ仲間はずれにする気か?」
「そんなつもりは!;あの、さっきまで反対してたみたいだったから…」
「はは!グリーンはいい奴だから、いつもなんだかんだ言っても最後には協力してくれるんだよなー?」
レッドがちゃかすように言えば、グリーンはチッと舌打ちをして顔を背けた。
「…ふふ。」
イミテがそれを見て、思わずふきだす。
「イミテさん?」
「ん?あ、ごめん。なんだか…なつかしくて。」
イミテは、微笑む。
「変わらないね。レッドも。グリーンも。」
昔と同じだ。
変わらない。
「(変わらない…本当に。)」
変わってしまったのは…自分ぐらいだろうか。
……きっと自分はもう、あの頃のように純粋にこの世界を見れないから。
そう思うと、なんだか少しさびしくなった。
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