04 動き出した歯車は
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「それで…記憶喪失ってどういうこと?」
傷も治ったところで、イミテはグリーンに向き直りたずねる。
「あの出来事の後、レッドは数日間意識がなかったんだ。」
「…うん。」
数年前のことで、今はもうレッドはこうして元気になっているとはいえ、やはりあの時のことを思い出すのは少し辛い。
……だって、彼の怪我は自分のせいなのだから。
「そして、目覚めた時には、もう…お前の存在そのものを忘れていた。」
「私の存在、を…?」
「それが、自身を守る最良の方法だったんだろう。」
「え…?」
「それほどイミテの存在が大きかったってことだ。忘れなければ耐えきれないほど…な。」
「……。」
イミテとグリーンの話しは、レッドとイエローには全く内容が理解できないもので2人そろって顔をしかめた。
そもそも、何の話しをしているか自体が分からない。
「あのさ、それって、」
「レッド。お前は知らないほうがいい。きっと頭痛がおきる。」
「………。」
レッドは複雑な心境になる。
グリーンの言ったとおり頭痛はおこると思う。
だが、知らなければいけない気もする。
思い出さなければいけないことのような、そんな気がするのに……。
「……レッド。」
「?」
「さっきはいきなり泣いて……ごめん。」
「えっ、いや、悪いのは覚えてない俺の方だし…」
「ううん。レッドは何も悪くない。」
「へ?」
「…悪くないよ、何も。」
だってレッドはある意味、被害者なのだから。
“イミテ!よけろ!!”
“―――バン!”
悪いのは、むしろ私だ。
……彼を、巻き添えにした。
「…事情は分かった。ゆっくりでいい。ゆっくりでいいから…、いつか思い出して、ね?」
そう笑いかけるイミテの表情は、少し悲しそうだが穏やかだった。
「いいのか?それで。」
「うん。」
グリーンの問いに、イミテは笑みを浮かべて答える。
本音を言えば、自分の存在そのものをなかったことにされるのは、まるで存在自体を否定されているみたいで悲しいけれど……、
「(今すぐ思い出してなんて言える資格、ないしね。)」
それが、レッドを守ることになるならば…
思い出してくれなくても、いいと思った。
「…それで、グリーン達がここにいる理由は…もしかして、能力者だから?」
グリーンが、軍人から自分を助けるために起こした地割れも。
そして、レッドがタケシに勝ちあの無数の警備をすり抜けられたのも。
2人が能力者で能力を使ったとすれば、全部納得できる。
案の定、レッドはうなずいて続けた。
「俺が炎で、グリーンが大地。能力者だ。」
「やっぱり。…マサラタウンを追い出されたの?」
「ああ。おじいちゃん―…オーキド長老の判断だ。マサラはあの日から能力者に対しての監視が厳しくなったから…な。」
「そっか…。」
イミテの表情がくもったのを見て、グリーンはがらにもなく少しあわてる。
「イミテ。お前が気にすることじゃない。もともとそれがこの国の決まりで、長老の判断は当たり前だ。」
「うん、分かってる。ただ少し…さびしいなあ、と思っただけ。」
能力者は追放されて当たり前。
除け者にされて当たり前。
そんなの分かってたのに、彼らの話しを聞いて帰る場所はないと再確認させられた。
マサラには、帰れない。
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