04 動き出した歯車は
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「ようこそおいでくださいました。何名様でしょうか?」
「4人です。角部屋にしてほしいんですけど空いてますか?」
角部屋ならば外の様子が確認しやすいのだ。
「はい。今日はまだ他にお客様がいないので大丈夫ですよ。…そちらの方は、具合が悪いんですか?よろしければ、別部屋を用意しますけど…。」
宿屋の女将がグリーンの背で寝ているイミテの方を見て言った。
ちなみに軍服を着ていることがバレないように、上からグリーンのマントをかけている。
「いや、寝ているだけだ。4人とも同じ部屋で頼む。」
「分かりました。よけいなお世話でしたね。すいません。」
バツが悪そうに笑った宿屋の女将。
その顔色に特に変化はない。
イミテが軍人だということはばれていなく、特に不信にも思われていないようだ。
「お部屋にご案内します。こちらです。」
「あの!最近この辺りで何か変わったこととかありますか?」
「え…?いえ、特には。何かあったんですか?」
「え…いや、」
探りをいれるつもりが逆に聞き返されて不利な立場にたたされてしまい、レッドは視線をおよがせた。
「この辺は物騒だと聞いてな。盗賊でもでるのか?」
変わりにグリーンがフォローする。
「物騒?あはは、そんなことはありませんよ。安心してください。たしかにここは山奥ですが、一番近い町がニビシティだから安全なんです。」
「ニビシティってそんなにいい町なんですか?」
「いい町かどうかは何とも言えませんが…治安は安定していますよ。軍が充実しているから。」
「軍が…?」
「ええ。2年前ぐらいにすごく強い女の軍人さんが入隊したんです。それからその人の噂があっという間に広がって、犯罪を起こす人の数も減ったし、指名手配されているような人も近寄らなくなったそうです。」
「そうですか…。」
その女の軍人というのは間違いなくイミテのことだろう。
「あ!それと、ニビシティにはタケシさんっていうとても親切な方がいて、異常がないか定期的に見回りに来てくれるんです。こんな…山奥なのに、わざわざ。」
女将は心底嬉しそうに笑って言った…、が、直後、その表情をくもらせる。
「でも、それだけ立派な軍隊があっても、それを指揮する王が身勝手な人らしいので……いい町、とは言い難いと思います。」
やはりニビシティの王の評判はよくないらしい。
「あ。お部屋はこちらです。とにかく、決して物騒ではないので、今夜は安心しておくつろぎください。それでは。」
「あ…。ありがとうございました。」
女将は最後ににっこりと営業用の作り笑いをして、来た道を引き返す。
「脱獄の件はまだ伝わってはいないみたいだな。」
女将が見えなくなってから、グリーンが小声で言う。
「ああ。定期的に見回りが来るって言ってたから安心はできないけど…まあ、軍もそんなに早く動かないよな。」
「あまり油断はするな。他の客が来てバレる可能性もある。」
「分かってるって。」
レッドは返事を返すと、スタスタと部屋の中に入っていった。
グリーンとイエローも後に続く。
部屋にはローテーブルが1つとソファーがあり、奥にはベッドが2つあった。
広さはじゅうぶんあるから、あとの2人は布団をしいて寝ることになるだろう。
入り口同様、小綺麗で清潔そうな部屋だ。
グリーンはベッドにイミテをおろし、布団をかけた。
彼女からは規則正しい寝息が聞こえ、起きる気配はない。
よっぽど疲れていたのか、……それとも気が休まる人に会えて安心したのか。
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