04 動き出した歯車は
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手錠をはめられそうになった瞬間、大地が大きくゆれた。
ゴゴゴ…と、それは勢いを増していく。
「(地震?でもなんだか揺れ方がおかしい…)」
ミシミシ…という音がしたかと思えば、
「う、うわあああ!!」
「なんだ、これ!?」
すぐに軍人達の悲鳴が聞こえた。
気がつけばイミテを捕らえようとしていた軍人の姿はなく、すぐ目の前の地面には大きな穴があいている。
どうやら穴に落ちたらしい。
「(これって、もしかして…能力?)」
「…おい、」
呆然としていると後ろから声がして、イミテは少し警戒しながらふりかえった。
何せ彼女は今武器を持っていない、無防備な状態なのだから。
攻撃されたら、それこそ絶対絶命だ。
「……え、」
しかし、そんな心配は無用だった。
その声の主とイミテの目がばっちりとあって、その場に時が止まったかのような沈黙がながれる。
「…イミテ?」
先に言葉を発したのは、彼、グリーンだった。
もちろんさっきの地震は彼の大地の能力によるもの。
「イミテ…だろ?」
グリーンは、もう1度イミテの名前を呼ぶ。
その言葉を聞き、イミテの目から涙が流れた。
さっきとは違う、今度の涙は嬉し涙だ。
「グリーン……!!」
名前を呼んで、彼の元へとかけよる。
また、会えた。
ずっと、会いたいと思っていた相手に。
心の中で何度も思い描いて、でも会えなくて。
切なくて苦しくなっていた、その相手が、目の前に立っている。
そしてちゃんと、自分を覚えてくれていた。
名前を呼んでくれた。
「っ…!」
イミテはそのままグリーンに抱きつく。
グリーンもそれを受け止めて、優しくイミテの髪を撫でた。
「怪我、してないか…?」
「…うん、平気。」
「久しぶり…だな。」
「……うん。」
ゆっくりと頷き、答える。
まるで、幸せをかみしめるかのように。
「もう…、会えないと思ってた。」
「ああ。」
「夢みたいだね…。」
つぶやいた言葉は、不思議と自分の身にしみて…、
夢じゃないように…と、イミテは心の中で密かに思う。
「ねえ…、聞いてもいい?」
「なんだ?」
「…どうなった?お葬式…。」
「…心配するな。ちゃんとやった。墓も、たててある。」
「そっか、よかった…。ずっと、気がかりだったから、さ…。」
「………。」
ギュッと、背中に回されたイミテの手に力がこもったのが分かって、グリーンも抱きしめかえした。
「イミテ…、それよりお前、なんでここに…」
「グリーン、」
「…なんだ?」
イミテは消えてしまうな儚い声で、言う。
「会えて…よかっ…た…」
言い終えた瞬間、イミテの体がグラリと傾いた。
「!?」
グリーンはとっさに彼女の体を支える。
「おい!イミテ!」
あわてて顔を近づけると、安らかな寝息が聞こえてきて…
「(……寝てる…?)」
ほっと胸をなで下ろした。
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