04 動き出した歯車は
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ガサガサ…と草木をかきわけて森の中を進むイミテ。
早足で歩いていたのに、気がつけばいつの間にか走っていた。
泣いてはいない。
でも、少しでも気をぬけば涙があふれでてしまいそうだ。
彼女の心の中は、ぐるぐる、ぐるぐると複雑な感情が流れ込む。
混乱で頭がパンクしてしそうなくらいに。
また、レッドに会えたことが奇跡だと思った。
もう2度と会えないと思っていたから。
嬉しくて、信じられなくて。
(でも彼は、忘れていた)
ピタリ、とイミテの足が止まる。
「う……、」
また、涙が出た。
声まで出そうになって、口を手でおさえてなんとかこらえる。
「(私は…思い返さなかった日はなかったのに。…そんなの、なんだかバカみたいだ。)」
むしろ、あの彼らとすごした日々を思い返すことが、城での生活の支えだったのに。
ギュッと、胸がしめつけられる。
涙は止まらなくて、苦しくて、悲しくて……そんな状況なのに、なんだか笑えて。
「ほんと…バカみたい。」
イミテは、悲しく笑い、つぶやいた。
(想っていたのは、しょせん自分1人だけ)
突然、ガサガサと、後ろの茂みが音をたてた。
「(イエロー…?)」
優しい彼女のことだから、心配して探しにきたのかもしれない。
そう思い、音のしたほうに足を進めた。
茂みに入り、バッ、と体にまとわりつく草をどけると……
「!!」
そこにいたのは、イエローではなく…軍人だった。
しばらく何がなんだか分からなくて動けずにいると、軍人もイミテに気づき声をあげた。
「!いたぞ!こっちだ!」
「…!!」
それを合図に我に返ったかのように、イミテはくるりと向きを変えダッと走り出す。
「待て!!」
もちろん軍人も逃がすまいと追いかける。
「(気づかないうちに、町のほうに来ちゃってたんだ…!)」
懸命に逃げるが男女の差は大きく、みるみるうちにイミテと軍人との距離が縮まっていく。
「(土地勘は向こうにあるし、こっちが圧倒的に不利だもんね…、仕方ない…。)」
イミテは弓をとろうと、背中に手を伸ばす。
が、その手は宙をつかんだ。
「(え…!?)」
この時になって、脱獄の時、イエローに弓を預けていたことを思い出した。
「(このままじゃ追いつかれる…!他に、なにか…)…っ!」
「無駄だ!」
他の手段を思いつく暇もなく、思いっきり腕をつかまれたイミテ。
ギリッと手首に鋭い痛みがはしる。
イミテはとっさに男達をキッとにらんだ。
「おー、怖い怖い。威勢がいいなあ。」
「離して!」
腕を振りほどこうと、必死に抵抗するがビクともしない。
「(だったら…)」
自由のきく足で攻撃しようと、バッと大きく足を上げた。
でもそれは簡単に受け止められてしまう。
「っ…!」
「女が力で勝てると思うなよ?仮にも俺達は軍人だぜ?」
「そうそう。それにお前のその武術、タケシさんから教わったやつだろ?俺らだって同じ訓練受けてきたからお見通しだっつーの!」
軍人達は服の胸ポケットから手錠を取り出した。
「これで、俺達のランクも上がるな!」
「ああ。なんせ能力者の死刑囚を捕まえたんだ。褒美もたくさんだろうよ。」
不気味な笑みを浮かべて、イミテの腕をグイッとひく。
「痛っ……!」
「悪く思うなよ?」
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