03 懐かしさに酔いしれる
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「レッド…、でしょ…?なんで…ここに…?」
「え…?」
キョトンとして聞き返すレッド。
「私…!イミテ、だよ…!」
ジッとイミテは不安気に彼の顔を見つめて言った。
「………。」
レッドは、黙りこむ。
イエローと出会ってその名前を聞いた時から、ひそかに思っていた。
イミテという名前は、聞き覚えがあるのだ。
それも、はっきりとしたものではなく、ほんの心の隅のほうにぼんやりと。
宝箱の一番奥に大事に大事に閉まわれているような、そんな感覚だ。
そう、必ず、どこかにあるはずなのに…見つからない。つかめない。
思い出せないのだ。
「(俺は…何を忘れてる…?)ッ…!?」
ズキンと激しい痛みが襲い、レッドは頭をおさえた。
「レッドさん!?大丈夫ですか!?」
「!イエロー!後ろ!!」
イミテが思わず叫んだ。
イエローがつられて後ろを振り返ると、いつの間にか1人の軍人が彼女に向かって剣をふりあげていた。
「え…?」
「イエロー!!」
反応が遅れたイエロー。
そんな彼女を、レッドがかばった。
カキンという音が響き、軍人の剣を受け止める。
まだ先ほどの頭痛のせいで痛むのか、額には冷や汗をうかべていたが…。
「お前ら、大人しく…、う!」
レッドは素早く剣を振り払い、相手のふところに入って峰打ちをする。
軍人はドサッと倒れた。
「大丈夫ですか!?」
「ああ…。でも、見つかるのも時間の問題だ。早く逃げよう。」
「まずこの牢屋を開けないと、イミテさん!鍵は!?」
「鍵は、ここに…。タケシが、置いていったから…」
半ば放心状態だったイミテは少し戸惑いながら、ポケットから鍵を取り出して見せた。
「早く開けて下さい!逃げましょう!」
イミテは顔をそむけ、そして首を横にふる。
「逃げても…その後どうすればいいか分からない。居場所がないの。生きる意味が、見つからない。」
「イミテさん…!」
「お願いだから…もう私のことはほっといて。私はここで最期をむかえる覚悟、できてる「そんなこと言うな!」
イミテの言葉はレッドにさえぎられた。
驚いて顔をあげたイミテに、レッドは少し怒ったような…でもどこか切なげな表情で言った。
「生きる意味なんて、後から見つければいいだろ!!死ぬ覚悟ができてるなんて、そんな悲しいこと言うな!!」
「!仕方ないじゃない!今まですごく辛かったの…!苦しかった!それなのにまだこの世界に希望を持てって言うの!?」
「今までの苦しさとか、辛さとかは分からないけど……、俺が…なんとかする!」
「え…、」
「この世界の、差別も能力者に対する偏った考えも、全部。きっと、皆が安心して平和に暮らせる世界にするから。」
それは、
まっすぐ、まっすぐ
「俺が、変えてみせる。この世界を。」
力強い、言葉だった。
言葉がでないイミテ。
レッドはそんな彼女に向けて、手を伸ばす。
そして、優しく笑って言った。
「行こう、イミテ。」
「!」
イミテは胸の前でギュッと拳をつくる。
レッドが私の名前を呼んだのは、ずいぶん久々で。
でも、そんな気は全然しないほどその声は、なんの抵抗もなく耳に届いた。
やっぱりそれは、昔と変わらずすごく居心地がいい。
ふいに、あの日々を思い出した。
私とレッドとグリーンと…3人でマサラタウンで過ごしていた日々。
どことなくなつかしくて、でもたしかに温かいもので。
ねえ、レッドが言うように世界が変われば
レッドが世界を変えてくれれば
あの日々を、取り戻せるのかなあ……?
もう1度、
もう少しだけ、
私は…本当は、
(レッドと、グリーンと、皆と…共に生きたい)
(この世界に、期待したいんだ)
ガチャリと小さく音をたてて、牢屋の扉は開いた。
イミテが鍵を開けたのだ。
「よし、脱出するぞ!」
レッドは昔と変わらない温かい笑顔で言う。
きっかけは、たった一言
長い間止まっていた時の歯車が
今、動き始めた
.