03 懐かしさに酔いしれる
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「逃げ出したとしても、能力者はその存在を認めてもらえない。異端者として扱われて歓迎されることなんてないの。」
決して受け入れてはもらえない、その存在。
「そんな世界にいたら、自分が生まれてきたことまで後悔しちゃいそうだから…」
きっといつか、自分で自分を嫌うようになる。
「だから…、だったら私はここで死刑になったほうがよっぽどいい。」
そんな場所に、生きる意味なんて見つけられるはずがない。
「そんな…イミテさん…、そんなこと言わないでください、よ…、」
イミテの思いが痛いほど伝わってきて、イエローはポロポロと涙を流す。
…優しいんだ、イミテは。
自分のせいで他人に迷惑をかけることをひどく恐れている。
だから、自らが消える道を選ぼうとしてる。
優しすぎるんだ、きっと。
でも、そんなの生き方、絶対に間違っているのに…。
「…っ、」
上手い言葉が見つからない。
彼女の考えをくつがえせるほどの、言葉が。
当たり前だ。
イエローは能力者だと言うことをずっと隠して生きてきて、幸いそれがバレたことはないため、邪険にされたこともまだ1度もないのだから。
経験がない故に、軽率な発言はできない…。
イミテの考えを、共感することも、否定することも…何も。
「(こんなんじゃダメだ!僕は…イミテさんを助けるためにここに来たのに…!)」
グッと涙をふき、イエローがもう1度イミテに向き合おうとした時…
「イエロー!早く逃げないと見つかるぞ!」
今までずっと扉の前で見張りをしていたレッドが、中に入ってきた。
あまりにも時間がかかっているため心配になったのだろう。
「分かってます!でも…。」
イミテを説得しなければ話しが進まないのだ。
「イミテさん、とにかく…、」
彼女のほうを見て、イエローは気づいた。
「イミテ、さん…?」
イエローが城に侵入した時も、女だとバレた時も、死刑判決が下された後も。
決して取り乱すことなく常に平静でどこか余裕さえ感じられたイミテが…、驚きと戸惑いを隠さず……いや、隠せず、すべて表情(かお)にでていたから。
「どうし、て…?」
「え…?」
そう呟いたイミテの声は、かすかに震えていて、
「なんで…?……レッド…、」
視線は真っ直ぐ、レッドに向けられていた。
.