03 懐かしさに酔いしれる
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入り口の警備は厳重だったが城の内部はけっこう手薄で(おそらくタケシがいれば侵入されることはないと、油断していたのだろう)、数人の軍人をふりきっただけで目的の牢屋についた。
「ここです!」
イエローが立ち止まったのは、頑丈そうな大きな扉の前。
ここが先日イエローがいれられて、そして今、イミテが捕らわれている牢屋だ。
他の牢屋に比べて壁の造りが頑丈で、特に要注意人物がいれられる牢屋だ。
…まあ、イエローの場合はただ単に牢屋が足りなかったからここにいれられただけだが。
「ここ、か…。…開けるぞ?」
イエローがこくりと頷いたのを確認して、レッドは扉に手をかける。
「(ここに、そのイミテって奴がいるんだよな…。)」
しかし、扉を開ける決心がつかない。
なぜか開けてはいけない気がした。
「レッドさん…?」
「ん、ああ…」
「…?レッドさん、僕が開けます。変わってください!」
煮えきらない返事をするレッドを不思議に思いながらも、イエローがレッドに変わって勢いよく扉を開けた。
次いで、ダッと一目散に走っていく。
イミテの無事を早く確認したいようだ。
そして……、
「イミテさん!」
一番奥の牢屋の中に、イミテの姿を見つけた。
思わず名前を呼び、かけよる。
イミテも急に自分の名前が呼ばれたことに驚きながらも、イエローのほうを見る。
「イエロー…!?」
「助けに来ました!ここから逃げましょう!」
イエローが牢屋の檻をつかんで必死に言う。
「さっきの警報…まさかとは思ったけどやっぱりイエローだったんだ。…ねえ、どうやってタケシをふりきったの?」
正直に言って、イエローの力はタケシには到底及ばない。
イエローがタケシを振り切ったとすれば、彼女が初めて侵入した時のように睡眠薬を使ったか、あるいは、……タケシが見逃したのか…。
「あ!それは協力してくださった方がいるんです!」
パアッ…とイエローは明るい表情になって続ける。
「タケシさんとも、その人が戦ってくれて!だからイミテさんの居場所が分かったんです。」
「!じゃあ、タケシに勝ったの…?」
「はい!」
「!」
まさかの事実にイミテは目を見開く。
それが本当だとしたら、イエローの言うその人はどれほどの実力者なのだろか。
「そっか…。」
フッ…と、イミテは穏やかな表情になった。
その様子を見て、イエローも嬉しそうに笑う。
「はい!だから心配しなくても大丈夫です!今度こそ、ここから逃げられますよ!」
しかし…、
「ううん。私は逃げるつもりはない。」
返ってきたのは、イエローの予想していたものとは正反対の答え。
「!?この前は一緒に逃げようって言ってくれたじゃないですか…!」
「それはあの状況でイエローが1人で逃げるのは難しいと思ったから。でも今は違う。それだけの実力者なら安心してイエローのことまかせられる。」
「嫌です…!絶対にそんなのダメですよ!イミテさん…、このままじゃ死刑にされちゃうんですよ…!?」
イエローの言葉を聞いて、イミテはまた、何とも穏やかな笑みをうかべた。
「別に…私はそれでもいいの。」
「なに言って…、」
「ねえ、イエロー。…分かる?」
「え…?」
「居場所がないことの、つらさって。」
イミテの目が、それを物語っていた。
今まで経験した悲しみも苦しみも。
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