32 制作中
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レッド達はなんのためらいもなく正面玄関を開け放った。
大きな音がたち、城の外にあった無数の視線は全て彼らに集中する。
「お前らは例の侵入者…!!」
「正面から現れるなんて捕まえてくれと言っているようなものだな!」
弓が武器の遠距離タイプの兵士達が、矢に手をかけようとしたとき、
「おっと!動くとお前らの大事な大事なご主人様がどうなっても知らねえぜ。」
「ご主人様だと…!?」
ゴールドはスッと例の発信(盗聴)機を取り出す。
音量を最大に調節すると、ザザザザ…という雑音と共に会話が聞こえてきた。
『……ああ。シルバーは会うことを拒んだ。裏で悪事を働いていた奴を、親とは思いたくないそうだ。』
『そこまで伝えなくても…』
『本当のことだ。コイツに情けは必要ない。』
『フッ…。そうだな。元より、息子は殺されたのかもしれないという思いを前提に踏み込みすぎないようにと思いながら、この生き方を選んだんだ。生きていただけでも…喜ばしいことだ。』
聞こえてきた会話に兵士達にざわめきが起こった。
聞こえてきたのは紛れもなく自分達が仕えているサカキの声だったからだ。
会話の内容からして、ちょうどシルバーが榊の息子だと伝えたところのようだ。
続きが気になるところだがゴールドはプツッと通信を切断する。
「どうだ?お前らのご主人様は、俺達の仲間が人質にとってんだ。妙な真似したらこの通信機で、連絡してどうすることだってできるんだぜ?」
ゴールドは発信機をちらつかせて、ニヤリと笑みをうかべる。
もちろん彼が口にした通信機というのは全くの嘘で、こちら側からの声を向こうに届けることはできないのだが、それが敵にばれないくらいの演技を披露していた。
元々は盗賊だったからこういうことはお手の物だ。
「…っ、」
見張り達はゴールドのその言葉に身動きがとれなる。
「行こう。」
レッド達は頷きあって、門へと走り出した。
すうっと、さりげなく兵士はレッド達を避けていき門までの道ができる。
あと少しで門にたどり着くというところで、イミテが「待って。」と先にいた2人を呼び止める。
そして近くにいた弓矢を持った1人の兵士に向けて鋭い口調で話し始めた。
「その矢を、矢立てごとこっちに向かって投げて。」
「な…!敵を見逃すうえに武器まで与えるなんて、するわけがないだろう!」
「サカキがどうなってもいいの?」
すごい剣幕で怒りだした兵士にイミテは冷静に言った。
あくまで自分達がうえだ、ということを見せつけるように。
確かに矢が手に入れば今後がかなり楽になるが、優先順位はここから出ることである。
だからもし敵が逆上して攻撃してきても戦闘を避けすぐに逃げられるように、門に着く一歩手前でこの話を切り出したのだ。
要するに、おまけ、のような駆け引きだった。
「……くそ!」
喜ばしいことに、兵士はそれに応じ、イミテに向けて矢立を投げた。
敵に従うことの屈辱からか結構な勢いで投げられたそれを、イミテはとっさに腕で防ごうとするが、
「、っと!」
ゴールドがそれより早くバシッと棍棒で矢立てを受けた。
「イミテ先輩あんまり無茶はしないでくださいよ。こっちはなにするかと思ってヒヤヒヤしてたんスからね!」
ゴールドは地面に落ちたそれを拾い上げイミテに手渡す。
彼女は「ありがと。」と静かに笑みを浮かべて、その矢を自分の矢立てにうつし…。
そのうちの1本を自分の足元に放った。
「な…!」
「!全員攻撃の準備を、」
慌てだす兵士達をよそに、矢からは勢いよく蔓が伸びていく。
そのまま格子状の壁となって、問から城の玄関まで続く道をつくるように、見張りを左右に二分割した。
「イミテ、これって…」
「グリーンたちが後から来た時のための簡単な防御。万が一の時に少しでも見張りと戦わなくてすむようにね。」
人質(サカキ)がいるから先頭にはならないとは思うが、念には念を、だ。
剣や槍では切れないほどの強度はあるが、炎があればすぐ燃えてしまうのが弱点ではあるが…。
まあ攻撃によって今慌てふためいているのをみると、もし壊されてしまってもちょっとした脅しにはなるだろう。
グリーン達も無事にここから出られることを祈って、イミテ達はまた足を進めた。
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