32 制作中
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城を抜け出すのは、想像以上に困難だった。
「いたぞ!あそこだ!」
「!やべ…!またかよ!」
角を曲がったところで数人の見張りに遭遇し、先頭を進んでいたゴールドがすぐさま棍棒をふる。
そこから見張りの足元に向かって電流が放たれた。
「な…!」
がくり、と膝をつく見張り達。
「よし。こっちッス!」
先程から、見張りに出会ってはゴールドの能力で痺れさせて身動きをとれなくするということを繰り返していた。
「ゴールド、平気?」
「余裕ッス!あと少しで出口ッスね!」
ゴールドは気丈にふるまっているが、彼の首元をつう…と、汗が流れ落ちるのをイミテが見逃すはずがなかった。
能力の使いすぎで疲労がたまっている。
考えてみればゴールドはナツメと一戦交え、そのあとサカキとの戦いでも何度か力を使っていた。
ゴールドもレッドやグリーンと同じく、能力が使える回数が制限されているタイプだ。
彼の様子から察するに限界は近いのだろう。
「(私の能力が使えれば一番よかったんだけど…)」
イミテの場合は能力が使える回数に制限はないタイプで、
加えて緑の能力ならば来たときにしたように蔓をめぐらせて敵を閉じ込めたり、サカキにしたように敵を直接拘束したりできるから、足止めにはうってつけだ。
しかし致命的なことに、媒介である矢が1本もないため能力が使えない状況にあった。
ちなみにサカキとの戦いの時にサファイア達が1本持ってきてくれた矢は一度能力を使い蔓を出してしまったため、回収しても使用できないからそのままだ。
あの危機的状況で矢を届けてくれたのは有り難いが、どうせなら数本持ってきてくれればよかったのに…と、少し不満に思う。
そんな状況だから、一刻も早く城から出たいワケだが…。
「窓から出れれば楽だったのに、格子状になってたり、防弾用のものだったりで壊せねえし…。」
「他に外に続く扉もないしな。」
短縮できそうな他の脱出ルートはなかった。
仕方なく来たときと同じ正面玄関に向かっている。
「城の中にもけっこう見張りがいるけど…入り口にいた数に比べたら大分少ない。俺達が侵入したからって、そのあとの配置は変わってないみたいだな。」
「入ってきたところ以外出口がないことを分かっているから、あくまで持ち場を離れないってわけね。」
「うえ…侵入したときとほぼ同じ数がいるとなると…きついッスね。」
侵入の時は煙玉を使ってうまく戦闘になることをかわしたが、2度も同じ手は通用しないだろう。
「なるべく戦わないとなると、どこかで矢を調達してイミテの能力で敵を一気に捕らえる、とか。」
「え、それって、イミテ先輩の使ってる矢を取りに戻らなきゃいけないってことッスか?ここの兵士が使ってる矢じゃ種類が違いますよね?」
「それは大丈夫。あくまでも私の媒介は弓の方だから。まあいつも使ってるのと同じ種類の矢を使った方がなぜか能力も安定するけど、特に問題はないよ。」
「ただ…」とイミテは不安げにイエローに目をやる。
「悠長に矢を探している間に、イエローの容態が悪化しないかどうか…」
「…そうッスよね…。」
さっきよりもイエローの顔色が悪くなった気がするのは気のせいではないだろう。
「手っ取り早いのは人質をとる方法だと思う。」
「けど、その辺の奴らを人質にとっても意味ないだろうし、効果がありそうなのは奴らを率いてるサカキか、ナツメかキョウか…。」
「サカキを連れに戻る方が時間がかかる。キョウは俺と戦ったあとどこかにいなくなった。」
「ナツメは?どうしてた?」
「気絶して倒れたからそのままにして俺らは先に進んだんスけど、入り口付近で戦ってたしそのままになってることはないんじゃないッスかね。普通は部下が見つけて救護とか。」
「そうだな。…人質をとるのは無理か。やっぱり矢を探しに行こう。」
多少時間がかかってもそれが最善だと話がまとまりそうになったとき、ゴールドが「あ!」と声をあげた。
「人質をとるっつー方法、できるかもしれないッス!」
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