03 懐かしさに酔いしれる
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ふと、一瞬の隙をみてタケシは力をこめ、槍をふり下ろす。
レッドはそれを間一髪のところで受け止めた。
「なかなかやるじゃないか。」
「そっちこそ。…そう言えば、さっき俺に勝ち目がないとか言ってたよな?」
「ああ。今押されているのが何よりの証拠だろ?」
タケシの言うとおり、レッドには少し苦痛の表情が浮かんでいた。
端から見れば、タケシのほうが優勢だ。
「まあな。でもお前がその槍を使っててくれて、勝機がみえた!」
レッドはニッと笑った。
その直後、彼の剣に赤いもやがかかる。
「なに…!?」
突然の現象にタケシは驚きを隠せずにいたが、当の本人のレッドは、もちろんその正体に気がついている。
そしてしばらくしないうちに、
「っ…!?」
タケシが槍を落とした。
レッドはすかさずタケシの首元に剣を突きつける。
「勝負あり…だな!」
「!お前、まさか…」
タケシは少し赤みをおびているレッドの剣をチラリと見て、やがてフッと苦笑した。
「見事だ…。なるほど、熱伝導、か。」
「熱伝導?」
イエローが小首を傾げて繰り返す。
「熱が他の物体に伝わることだ。金属は熱を通しやすいってよく言うだろ?」
「なるほど…。」
レッドの能力は火。
加えてこの槍は鉄でできているから、柄の部分まで熱が伝えることはたやすい。
「鉄の槍があだになったか…。まさか、お前も能力者だったとはな。」
ため息を1つもらすタケシだが、その表情はどことなく満足そうだ。
「タケシさん!教えてください!イミテさんはどこにいるんですか!?」
この城には侵入者が多いため、牢屋がたくさんある。
そのどれもが隣接しているのだが、部屋は区切られているのだ。
「………。」
「タケシさん!」
「イエロー、コイツも軍人なんだろ?そう簡単に教えたら、自分の身が危ないんじゃないのか?」
「あ……。」
イエローは必死になるあまり根本的なことを忘れていたようで、思わず声をもらした。
そんな彼女の様子を見て、タケシはフッと笑う。
「イエロー、お前がいた牢屋と同じ場所だ。」
「タケシさん、それ言っちゃったらまずいんじゃ…」
「気にするな。だが、聞いたからには、なんとしてもイミテを助け出してくれ。」
彼は静かな口調で続けた。
「アイツが死ぬのは…、もったいない。」
その言葉にどんな意味がこめられているのかはタケシにしか分からないが…。
レッドはそれを見て、笑顔を返す。
「当然だ!必ず助けてみせるさ。な!イエロー!」
「はい!タケシさん…ありがとうございました!」
イエローはぺこりと頭を下げ、走り出す。
「レッドさん!こっちです!」
「おう!」
今度は軒下ではなく、堂々と庭を突っ切って牢屋を目指す。
居場所が分かった今、もはやコソコソと隠れる必要はない。
いっこくも早く、助けださなければ。
「頼んだぞ…」
タケシがそれを見てつぶやく。
想いは、たくされた。
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