31 守るための武器とは
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「お、わ…!」
ゴールドの声が響き、イミテとグリーンは視線を戻す。
見るとゴールドは後ろへととばされていて。
サカキがイミテ達の方に向かって走ってきた。
「!」
イミテはとっさにグリーンの前に出て、短剣を構える。
「剣の使い手にどこまで太刀打ちできるかは分からないけど…」
「イミテ!そのまま戦うな!」
その様子を見てグリーンが声をあげた。
「どういう、」
「相手を、真似ろ。」
少し息苦しそうな様子で。
でも確かにイミテに、サカキの媒介である本を手渡す。
「…。」
イミテは少し考え、サカキに見せつけるようにそれをバッと突きつける。
「それ以上近づいたらこの本を切り刻む!」
イミテが言い放つとサカキはピタリと足を止めた。
「この本が惜しいのなら武器を床に置いて。」
「俺を脅しているつもりか?クク…ムダなことを。闇の能力がなくても俺はお前達に勝てる。」
「…。」
サカキの言う通りだ。
しかし…、
「勘違いするな。あくまでも優位にたっているのは俺だ。…その上で、やはり媒介を失うのはもったいないからな。それを渡すなら…この場は見逃してやってもいい。」
サカキはニヤリと笑みをうかべながらいった。
「…そう。」
イミテは静かにそう言うと、視線を本へと戻す。
本を渡したら見逃す?
そんなの嘘に決まっている。
サカキはグリーンに、自分自身で命をたてと何のためらいもなく言うような非常な人間だ。
彼が条件をのむかどうかは別にどうでもよかった。
元々、サカキに媒介を渡すつもりはこれっぽっちもなかったのだから。
能力なしでもサカキの方が強いというのに、また能力が使えるとなったらこれ以上やっかいなことはない。
だから、ただ時間稼ぎができればいいと思っただけで。
「…。」
イミテは本を開くと思いきり短剣を突き刺した。
短剣をひくと、ビリビリという音をたててページが破れていく。
「交渉不成立ってことで。」
「貴様…!」
一段とサカキの殺気がこくなり、彼は今度こそイミテ達に攻撃しようとするが…、
「おっりゃあ!」
「!」
今のやり取りの間に体制を立て直したゴールドがもう一度サカキに攻撃をしかける。
サカキはそれを剣で受け止めた。
「棍棒で勝てると思ってるのか?まだ雷の能力が通用すればなんとかなっただろうが…おしかったな。」
「…っ」
ゴールドは悔しそうに顔を歪める。
実はサカキに雷の能力が通じたのは最初の一回のみで、何故かそのあとは全く効かなくなってしまっていた。
サカキが何かしたのは明らかなのだが、見抜けず対策をたてられずにいた。
「(今だ…!)」
ゴールドがサカキの剣を棍棒で受け止めている間に、イミテが短剣を構えて後ろからサカキに攻撃しようとする。…が、
「…」
「「!」」
サカキは焦る様子もなく、まずゴールドにおし勝つとそのまま素早くイミテを蹴りとばす。
「束になってかかってこようが同じこと。お前達に勝ち目はない。…まずはお前から殺してやる。」
「!」
サカキはそのままイミテに向けて剣をふりあげる。
立ち上がろうにも蹴られた衝撃で上手く身体が動かないし、防ごうにも短剣だとおし負けることは確実で、
「え、」
サカキの剣が降り下ろされるより早く、サカキとイミテの間に人影が入り込んだ。
「「!」」
「遅いッスよ。レッド先輩。」
イミテとグリーンが目を見開いて驚き、ゴールドはまるで分かっていたかのようにそう呟いた。
レッドは自身の剣でサカキの剣を受け、そのままはじく。
サカキは新たな敵に驚いたのか、一度間合いをとろうと後ろへさがる。
「よかった!解毒剤効いたんスね!」
「ああ。事情はルビーとサファイア(あいつら)に聞いた。イエローも目は覚ましてないけど安定してる。」
レッドがイミテの方をふりむく。
今の言い方だと事情を知らないイミテはイエローのことを心配に感じるだろうと思ったのだが、案の定、彼女の瞳は揺れていた。
「イミテ。」
「レッ、ド、」
「大丈夫。皆無事だ。」
「…っ、うん…!」
そしてサカキに向き直り、レッドは言う。
「あとはコイツを倒すだけだ!」
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