31 守るための武器とは
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「残念ですが、それは無理ですよ。彼は助からない。」
突然聞こえた第三者の声。
レッドのことに気を取られていて気配に気づかなかったことに内心後悔しながら、ゴールドはとっさに棍棒を構える。
イエローも声の主からレッドを守るように背に隠した。
隠れる様子も怖じ気づく様子ももなく部屋に入ってきたのは…
「お前ら、この前の…!」
「ルビーさんに、サファイア、さん…?どうしてここに…!?」
「彼のあとをつけてきたんです。予言を聞いて、気になっていたので、ね…。」
ビッと、棍棒の先がルビーの首元に当てられる。
「胡散臭い笑顔うかべてんじゃねえよ。どういう意味だ。」
「ゴールドさん、落ち着いて、」
「さっきの助からねえって、どういう意味だよ!んなもんやってみねえと分からねえだろ!予言予言、うるせえんだよ!」
ピリピリとした空気がその場に流れる。
ゴールドはルビーを睨みつけ、ギリッと歯をかみしめる。
彼女(イエロー)の前でそんなこと言うな、と内心ひどく苛ついていた。
そう感じるのは、大切な人の無事を願う気持ちが分かってしまっているからだ。
ゴールド自身、レッドのことは尊敬しているし大切な仲間だと思っていて、彼がこうして倒れていることに胸を痛めている。
しかしそれ以上に、イミテの事が心配だった。
どんな経緯かは知らないが、レッドとイエローがこの場にいて、グリーンとイミテは2人きりで先に進んでいるのだ。
先に進むほどボスに近くなるのは当然、配置されている敵も強くなるはず。単純に、イミテの無事が心配だった。
それに…、レッドやグリーンに何かあればイミテは絶対に悲しむ。
だからこの状況で、しかもレッドは助からないなんて言われたら冷静でいられるわけがなかった。
「ほら、サファイア。彼らは僕達を味方として見ていない。話すだけ無駄だよ。」
「そんなことなか!あたし達はあんたらを助けたいと本気で思ってると!」
「はあ?よく言うぜ。お前らが助からないっつー妙な言いがかりつけてきたんだろ!」
「それは、アンタが解毒薬を取りに戻ったところでこの人は助からないっていう意味ったい!」
「…どういう意味ですか?」
「ルビー。」
「…はあ。」
ルビーは仕方ないといった様子でため息をつき、レッドの元へと歩み寄る。
ゴールドが「おい…!」と今にもくってかかりそうになったが、イエローがスッと立ち上がりルビーがレッドに近づくことを許したため、思いとどまった。
レッドの首元に手を当てて「やっぱり」とルビーは呟く。
「息が浅いし、体温も低い。それに少し抓っても何も反応がないから完全に身体の感覚は麻痺している。即効性の毒のようですね。…予言の通りだ。」
「また予言予言って、」
「今日、“アンタ達の中の誰か1人が死ぬ”。それがアダンさんが告げた、予言ったい。」
「「!」」
「解毒薬を取りに行ってここに戻ってくるまで何分かかりますか?」
「そんなの、15分もあれば、」
「10分。」
ルビーは間髪入れずに言い放つ。
「10分で、彼は死にますよ。」
「…ッ!」
断言され、ゴールドは言葉に詰まる。
すると、横でイエローがガクッとひざを突いた。
「そんな…、イミテさん達と約束したのに…。レッドさんのことは任せてくださいって…、」
「イエロー先輩…」
「ちょ、サファイア…!?」
ふいにサファイアがイエローの元まで歩み寄る。
ひざを突きイエローと目線を合わせると、肩に手をおいてニコリと笑う。
「大丈夫。1つだけ…、1つだけ方法があるったい。あたし達はそれを伝えるためにアンタ達を追っ手きたとよ。」
「なんですか!?どうすればいいんですか!?」
「サファイア!それはダメだって言っただろ!アダンさんに禁じられてる!僕達だけの判断でできるものじゃない…!」
ルビーがサファイアの腕をつかみ、告げる。
でもサファイアの表情は全く変わらなかった。
「あたしがこの人立場でも同じ事してたと思う。それが大切な人を助けられる唯一の方法だとしたら、なんとしてもやるったい。何もせずに見てるだけなんて耐えられんとよ…!」
「…サファイア。」
「ルビーも、あたし達があとでアダンさんに罰を受けることを恐れてるだけで、本心では助けたいって思ってるんじゃなか!?アンタは優しいから、このまま見殺しなんてできるはずないったい。」
「…君は僕のこと買いかぶりすぎだよ。」
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