29 正しいかなんて知らない
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
地下の一番奥にある部屋を目指して進んでいた彼ら。
なぜか敵に遭遇することもなく、とても順調に進んでいた。
「…おかしくないか?ここまで見張りがいないなんて。」
「罠かもしれないな。今さら引き返せないから進むしかないが。」
「たしかに毒素はこっちだったと思うんだけど…。!待って。」
突然イミテがピタリと立ち止まる。
そして、弓を軽く握り「間違いない、」とつぶやく。
「なんだ?」
「毒素が一番強いのは、この部屋。」
指を指した先には、1つの部屋が。
その扉は半開きになっている。
「ここにキョウがいるってこと、か?」
「そうだとしたらなぜ出てこない?」
レッド達は周りに注意こそしていたが、別に気配を隠して進んでいたわけではない。
今だって普通の声量で会話をしているというのに。
「…どうする?」
リスクを覚悟の上で確かめてみるか。
あえて無視して先に進むか。
「行こう。」
迷いからくるしばしの沈黙をやぶったのはレッドの一言だった。
「敵がいるって分かってるのに、それを見なかったことにするなんて…俺はできない。」
強いまなざしとともに告げられた言葉。
まるでそれは真っ直ぐな彼の性格をそのまま表しているようだった。
「そうだね。ここで戦いをさけても、きっといずれ戦うことになるだろうから。」
だったらいつ戦っても同じだ、と、イミテも頷く。
「そうと決まればまずは様子を探って…」
「いや。向こうもこっちの存在に気づいているだろう。それなら正面から突破するまでだ。」
「…おう!」
普段は冷静沈着なグリーンだが、こういうときは彼は潔い一面がある。
グリーンの言葉にレッドはドア側の壁に背中をつけて突入の準備をする。
「まずは俺とグリーンで部屋に入るから、イミテ達はここに、」
「冗談。私達も一緒に部屋に入るに決まってるでしょ。」
「そうよ。アンタたちが部屋に入った瞬間、なにかのからくりが作動して天井が降ってきたりしたらどうしてくれんのよ。ここに残ってたらひとたまりもないじゃない。」
「…。」
「ぶっそうなこと考えるね、ブルー。」
レッド達だけに任せるわけにはいかないという思いから出たであろうイミテの発言と、半ば冗談半ば本気であろうブルーの発言。
理由はどうであれ、結局どちらの意見を合わせても皆一緒にキョウがいる部屋に入ることが最善のようで。
「ドアを開けたらすぐに中に入る。いいな?」
「うん。」
「いくぞ。3、2、1……」
合図と同時にバアン!と勢いよく扉は開き、レッドとグリーンが先陣を切って中に入っていった。
すぐ後に、イミテ、ブルー、イエローも続く。
部屋の中には…、
「!」
背を向けるようにして椅子に座っているキョウがいた。
ぴりぴりとした緊張がその場に伝わる。
「ほう…全員来たのか。」
くるり。顔だけややレッド達の方を向いて、彼らの姿を確認したキョウが言った。
「クク…、つまらない結果になるな。」
「(…?)」
どういう意味だ、と思った直後、
バタンとついさっきレッド達が入ってきた扉が勢いよくしまった。
「!?レッド、後ろを!」
「ああ!」
後ろが気になるが、前にいるキョウから目を離すわけにもいかない。
グリーンがレッドに簡潔な言葉で告げる。
自分はキョウを見張るから後ろのことは任せる、という意味だ。
すぐに察することができるのはさすが、といったところだろう。
「イエロー!」
一方でイミテも扉の閉まる音にすぐに反応し、側にいたイエローの手を引き、扉から遠ざけるように彼女を自分の後ろへと隠した。
ブルーも扉から素早く距離をとったようだ。
「……」
しかし、扉から何かが進入してくる気配も、キョウがふいうちをねらって仕掛けてくる気配もない。
むしろ扉の外からは物音1つ聞こえない。
「(俺達の反応の速さを見るためのフェイクか?)」
思わずグリーンがそう思ったその時。
「!」
イミテがぴくりと反応した。
「イミテ、さん?」
彼女の変化をいち早く感じ取ったのは、もちろん一番側にいたイエローで。
不安げにイミテに声をかける。
「扉の外…蔓が、枯れ始めた。」
「え…?」
イミテが言っているのは、先ほどキョウがいる場所を探すために廊下に張り巡らせた蔓のことだ。
イミテは確かめるかのように弓を握り直し、そしてもう一度確かにつぶやいた。
「廊下に、“毒”が充満してる。」
「は!?」
「なんだと?」
.