29 正しいかなんて知らない
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ドカン、ドカンと派手な音が辺りに鳴り響く。
火薬がぶつかりあって、破裂する音。
その直後、もくもくと灰色がかった煙が上がる。
「準備万端ね!さっ、急がなきゃ!」
ダッと、シルフスコープをつけたブルーが走り出す。
レッド達もその後に続いた。
なんだ!?、入り口を固めろ!、などと騒がしい中を駆け抜ける。
声の数からして城の庭には相当な数の見張りがいたようだ。
ー……シャラン、シャラン、
そんな中、すんだ鈴の音は不思議としっかりと鳴り響いていて。
「(いちいち戦ってたら相当体力消費してたな…)」
レッドは走りながら安堵のため息をもらす。
きっと周りも同じことを思っているだろう。
一応剣を握りしめているが使うこともなさそうだ。
「あと30メートルで煙が晴れる。そしたら、城の入り口のドアがあるわ!ただ見張りがドアの周りに5人いる!左側に2人、右側に2人…あと1人は、」
「十分だ!グリーン!俺は右をやる!左は頼んだぞ!」
「ああ。」
ダッと、先頭をゆくブルーを追いぬいて、レッドとグリーンはそれぞれ左右の見張りの元へと向かう。
「な…!」
「うわっ…、」
煙の中から突然飛び出してきた彼らに驚いたのだろう、見張りは迎え撃つ暇もなくただただひるんで立ち尽くしていた。
すきだらけだ、とレッドは剣の柄の部分で素早く見張りの首を叩き気絶させる。
振り返れば、グリーンの足元にも同じく気絶した見張りが倒れていた。
「あと1人は…」
くるり、また視線を他に向けた、まさにそのとき、
「あ、」
イミテが残りの見張りの首元に蹴りを入れているのが目に入った。
「レッド、焦りすぎ。残りの1人が強敵だったらどうするつもりだったの?ちゃんと冷静に行動して。」
「お、おう…それにしてもイミテ、」
「?なに?」
「アンタ、よくそんな足上がるわね…」
レッドが言おうとしたことを、代わりにブルーが感心と呆れのこもった声色で言った。
ブルーはもちろん、レッドですらそんなに大きく足が上がる自信はない。
「身体はやわらかいほうなんだ。」
イミテはしれっと答える。
敵も煙から飛び出してきた可憐な少女があれほど華麗にキレのある蹴りを繰り出してくるなんて、さぞ驚いたであろう。
しかも直前まで走っていたことで勢いがついたのか、かなり痛そうな音がしていた気がする。
レッドは心の中で少し敵に同情した。
「ぜってぇそいつ、気絶する直前にイミテ先輩のパンツ見たッスよ!ずりい!」
「中に短いズボン履いてるけど。なんならゴールドもくらっとく?」
「げっ。遠慮しときます。……こうしてふざけあってる時間もそんなにないようなんで。」
ゴールドは城内に目をやった。
バタバタというたくさんの足音が聞こえてきて、たくさんの城内のサカキの手下達が集まってきているのが分かる。
「…どの通路からも聞こるわね、足音。」
エントランスからはいくつもの階段があり、扉もあり、廊下もあり…いろいろと道はあるようだが、
今の騒ぎを聞きつけて全ての場所の見張りがここに集まってきているのだろう。
ついでに今通ってきた庭からもこちらに向かって足音が聞こえてくる。
「やっぱりあの煙の中を抜けてくる強者もいるんスね。」
「まあ、土地勘はあっちにあるからな。」
「…せめて庭のヤツらは足止めするか。」
そう言うとグリーンは数歩進んで城の外へと逆戻りし…ガッと地面に刀を突き刺した。
瞬間、ゴゴゴゴ…という地鳴りと共に地面が勢いよく盛り上がる。
そして、城と庭を完全に隔てるように土の壁ができた。
「おおー。さすが。」
「これで後は城内の敵を何とかすればいいだけだね。」
「…ただ、数が多いッスね。」
そうこうしているうちにエントランスには手下が集まったようで、あっという間に彼らを囲んでいた。
彼らに向いた無数の剣の切っ先が、ギラリと怪しく光る。
「お、お前ら大人しくしてろ!」
「そうだ!う、動くなよ!」
林の中にあるため侵入する者なんていなかったのか明らかに戦い慣れていない様子の手下が多く見られた。
数は多いが、これなら何とかなりそうだ。
そんな考えが彼らの頭をかすめた、そのとき………
「フン。やはり来たか。」
ふわり、と。
2階の階段のよりもさらに上。
宙に浮く……ナツメの姿があった。
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