03 懐かしさに酔いしれる
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「どうしよう…。」
ポツリとつぶやかれたイエローの言葉に、レッドはチラリと時計を見る。
時刻はもうすでに9時をまわっていて、死刑実行の正午まではもうそれほど時間がない。
「作戦をたててる暇はないな…。とにかく城の裏口に行って、警備の状態がどんなもんか調べてみるか!」
予定通り今日の夜城に侵入していたのではとうてい間に合わない。
危険だと分かっていても、彼女を救えるのは今しかないのだ。
「は…はい!裏口まで案内しますね。」
「ああ。頼む。」
歩き出したイエロー。
レッドはその小さな背中を追いかけながら、
「(イミテ、か…)」
心の中でそう呟いていた。
なんだか聞き覚えがあるような…イミテという名前。
昨日イエローの話しを聞いた時からずっと考えているのだが、どうしても思い出せない。
でも、すごくなつかしくて…温かい気持ちになる。
「(なんなんだ、一体…。)」
もやもやする気持ちを、グッとこらえた。
城の裏口。
ここなら警備は手薄だろうというレッドの予想ははずれ、何十人もの見張りがいた。
「これじゃあ、近寄れないな…」
「あっ!」
何かを思い出したようで、イエローが声をあげた。
そして、ポケットを探る。
「レッドさん、それならこれを使ってください。」
取り出したのは、黒い固まり。
「これは……?」
「睡眠薬入りの爆弾で、麻酔銃を手に入れた時に貰ったんです。半径1キロ以内なら、皆眠らせることができます。」
「すげーな!これがあれば簡単に侵入できるぜ!」
喜ぶレッドとは対照的に、イエローはでも、と付け足す。
「それ、大きな音がでてしまうんです。だから僕は使わなかったんですけど…。」
爆弾で広範囲にまで効果があるということもあって、音はかなり大きい。
「平気平気。これだけの見張りがいたら、どうせバレるし。…じゃ、イエローはここで待っててくれ。」
レッドは爆弾を受け取ろうとしたが「い、いやです!」と言って、イエローはさっと手をひっこめた。
「へ?」
「僕も行きます!」
「!?何言ってんだ、イエロー、戦えないだろ!?」
「バカにしないでください!僕だって護身術程度ならできます!足手まといにはなりませんから…!」
「そうは言っても何が起こるか分からないし、」
「第一、レッドさん、牢屋の場所とか軍の配置とか、分からないでしょ!?」
イエローはズイッとレッドに歩みより問い詰めるように言う。
「それは、まあ…そうだけど。」
「それにレッドさんに頼んだのは僕なんですから!頼んだ張本人が見てるだけなんて嫌です!!……なにより、」
「…?」
「僕も…イミテさんの役にたちたい…!」
そう言った時のイエローの瞳はギンとレッドをとらえていて、固い意志が感じられた。
レッドは根負けして、やがてフッと笑う。
「分かった。無茶はすんなよ?」
「はい!」
イエローは大きくうなずき、爆弾を裏門に向かって勢いよく投げる。
パアンッ!!
と、大きな音が響きわたった。
「何だ!?」
「!侵入しゃ、」
「おい、しっかりし…ろ……」
あんなにたくさんいた軍人達は、瞬く間にバタバタと倒れていった。
「すごい効き目だな。」
「でもやっぱり音もすごいですね…」
さっきの騒ぎに気づいて、警報が鳴り響いている。
「とにかく、牢屋まで案内してくれ!」
「分かりました!」
2人は人目につかない軒下を移動することに決め、門の中へと入っていった。
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