28 想いと共に脳裏をよぎる(後編)
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「じゃあアンタはイミテにも同じこと言うのかしら?」
「は?アイツはそんな服選ば「ドレスを選ぶのが面倒くさそうにしてたから、あの子の変わりにあたしが選んだあげたの。」
グリーンの言葉を遮りブルーは言う。
「あの子、肌がきれいだからそれを強調させるデザインのもの選んだのよ。みる角度によっては、あたしのより露出度高めかもね~♪」
「「!?」」
グリーンは別に驚いていない様子で、むしろ隣にいたレッドとゴールドのほうが驚いていた。
「何勝手なこと言ってんの、ブルー。」
そのとき、ちょうど呆れたようにため息をつきながら、イミテが現れた。
でもその格好はブルーの言ったような派手なものではなく、落ち着いた雰囲気のシックなノースリーブのクリーム色のワンピースで。
「ふ、フツーの服ッスね。」
「イミテ、ブルーに選んでもらったんじゃなかったのか?」
「まさか。そんなことしたらどうなるかは目に見えてるし。」
しれっと答えてイミテは食事の席につく。
「(あ…)」
反動で揺れた彼女の長い髪に、ゴールドは思わず目をやる。
さらりとなびくその髪に映えるような、白い肌。
目が離せなかったのは、普段あまり見なれないからだと遅れて気づいた。
いつもの彼女の服装だと、羽織もので肘より上はほとんど隠れているうえに、左腕は弓矢用のグローブ…そして下も長めのブーツをはいているため肌はほんの少ししか見えていないのだから。
「(やっぱり…綺麗だよなあ。)」
決して、世間一般で言う絶世の美女というわけではない。
でも、彼女を見ていると、なんだか洗練された儚いような雰囲気を感じる。
魅せられて。なぜだか、目が…離せなくなる。
(惹かれて、しまう)
「すいません!遅れてしまって…」
パタパタとイエローが慌てた様子で入ってきた。
彼女もまた、いつもとは違う下に3段重ねのフリルのついた水色の短い丈のドレスを着ていた。
可愛らしいという言葉がぴったりなその様子に場が一気に和む。
「ずいぶんと可愛いな。」
「へ…!?//」
レッドの何気ないそんな一言にイエローの頬が真っ赤に染まったのは言うまでもない。
そんな様子を見て彼はハハッと笑い、
「よし、じゃあ食べようぜ。」
ようやく夕食の時間となった。
夕食の席も賑やかなもので、ステージ上では踊り子などがくるくると演舞を披露していた。
今はすでにメインの食事はすんでいて、皆、軽く何かをつまみながらそれを鑑賞している。
「わあ!すごいですね!」
「だな!…うわ、落ちそう!」
イエローやレッドがはしゃぎ、ブルー・グリーン・シルバーも達もそちらに目をやっていた。
そのとき、周りに気づかれないぐらいの声量で、「ゴールド」とイミテが隣に座る彼の名前を呼んだ。
イミテはバルコニーの方を指さし軽く微笑む。
次いで席を立ち、そっちに向かって歩いていった。
「(ついに、か…)」
分かってはいたが、やはりそのときが来ると胸の鼓動は収まらなくて。
だけど、なぜかイミテが優しく微笑んでいたことに、少しだけ緊張がほぐれた気がして。
「(最後までイミテ先輩に助けられてやんの、俺…)」
そんな事実に苦笑して、ゴールドはガシガシと頭をかく。
そしてふうと大きく一度息を吐くと、彼もまた席を立ちイミテの後を追った。
「…。」
そのやりとりにばっちり気づいていたブルーが、グリーンを横目でちらりと見る。
彼もまた鋭いから始終に気がついているだろう。
「ねえ、どうなると思う?」
周りに気づかれないように、ブルーは声をひそめてグリーンに言う。
まるでこの状況をとても楽しんでいるかのように。
「…。」
それに対してグリーンは無言だった。
ブルーははあと息を吐いて、続ける。
「アンタって、他人のこと察するのは得意なくせに、自分の気持ち隠すのは下手くそよね。」
「……どういう意味だ。」
「本当は気になって気になって仕方ないくせに。イミテの恋の行方。」
ブルーは変わらず楽しそうだ。
「別に「好きなんでしょう?イミテのこと。」
遮られる。
その言葉は、確信をもったものだった。
「大切に、想ってるんでしょう?」
「…。」
思い返せば、ゴールドも、そして恋愛沙汰には疎いであろうイエローも、グリーンの気持ちに気づいたぐらいだ。
となると、彼女(ブルー)が気づかないわけがない。
今さら隠そうとしても無駄だろう。
「それを知ったところでどうする。」
その言葉には事実を認めたという意味が含まれていることに、もちろんブルーは気づいている。
「アンタは伝えないの?自分の気持ち。」
「…。」
「ねえ。」
「……必要ない。」
グリーンの言葉にブルーは思いきり眉を寄せる。
「何それ。言葉にしなきゃ、気持ちなんて伝わらないじゃない。」
「だから、伝える必要がないという意味だ。」
グリーンは、告げる。
「アイツを…無理に困らせたくない。」
つぶやかれたそんな言葉は、
ひどく切なく響いた気がした。
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