28 想いと共に脳裏をよぎる(後編)
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「ねえ。レッドとグリーン、どっちが好きなの?」
満面な笑みとともにブルーが聞けば、イミテは案の定盛大にしかめっ面を返した。
そんな様子にクスリと笑って、ブルーは続ける。
「レッドは困ってる人を放っておけない正義のヒーローみたいなタイプよね。行動力もあるし優しいし、何かと頼りになりそう。まあたまにぬけてるけど。で、グリーンは容姿端麗で頭脳明晰。まさに女の子が理想的とする男って感じ。真面目すぎるところがあたしは気にくわないけど、アンタなら上手くコントロールできそうだし問題ないんじゃない?」
ペラペラと楽しそうに喋るブルー。
イミテの眉間にしわが寄っていることに気づき、彼女は話しを止めて問う。
「アンタ達、小さいときから一緒だったんでしょ?どっちが好きなの?」
「どっちがって…どっちも別人だから、比べようがないと思うけど。」
「ちょ…かたいかたい!というか女の子としてその回答はどうかと思うわ!…しょうがない、質問を簡単なのに変えましょう。どっちと一緒にいるほうが楽しい?」
レッドとグリーンは性格が正反対…まさに両極端で。
たしかに彼女の言うとおり、どちらと居やすいかと聞かれれば、それははっきりと簡単に答えがでる質問だろう。
しかしイミテは違った。
「考えたことない。そんなの。」
「今考えてよ。」
「考える気もおきない。」
「…。」
普通の女の子とは少し思考回路が違うようだ。
全く恋愛話には発展しなさそうな回答をピシャリと突き返された。
それもそのはず。
イミテの中ではレッドはレッド、グリーンはグリーンなのだ。
たとえ話だとしてもその定義が揺らぐことはなく、比較することなんてできなかった。
「まったくつれないわね。一緒に旅してていいなあと思ったこととかないの?」
「……恋愛感情をもったことはないよ。」
イミテは静かに言う。
いつだってそんな感情よりも、友情とか絆とか仲間といった気持ちが先にくる。
それに今はそんなことに気を取られている暇はない。
自分たちには大きな目標があって度をしているのだから。
それが終わるまで、向き合うつもりは…ない。
いっそこのままー…
「欲を言えば、私は、ずっとこのままの関係のままでいたい。」
このままの、温度で。
3人仲良く、ずっとこのまま生きていけたらどんなにいいことか。
いつまでも幼い頃のあの温もりは手放したくなくて。
「…そう。でもそれって、大人になりたくない子供みたいね。」
ブルーが淡々と言う。
「子供…ね。」
肯定も否定もなくただつぶやいた。
その言葉が妙に彼女の耳に残ったのは、おそらく図星だったからだ。
値が張るホテルというだけあって、サービスは十分すぎるほどに行き届いている。
人数から考えるとかなり広めの部屋の間取りに、テーブルの上には色とりどり種類も様々な洋菓子が可愛らしく並んでいて、もちろん床にはゴミなんてもの1つも落ちていない。
何より驚かされたのは備え付けの洋服があることだった。
部屋着なのだろうがそのどれもがこだわったデザインで、特に女性の服にはそれが顕著に見られており、何十種類の中から自分たちの気に入ったものを選ぶという形式であった。
そしてー…。
「おまたせ♪」
夕食時、それを身にまとって登場したブルーに一番に歓喜の声を上げたのはゴールドだった。
「ブルー先輩、めちゃくちゃセンスいいじゃないッスか!」
「オホホ!当然よ。」
ブルーが選んだのは、背中ががっつり空いたセクシーな紫色のドレス。
マーメイドラインの身体にぴたっとしているような形で、その上から透明なショールを羽織っている。
「それを着こなせるブルー先輩、最高ッス!」
「似合ってるよ、姉さん。」
「レッド先輩、そんなにブルー先輩の腰のライン凝視しちゃだめッスよ。」
「してねえっつーの!」
わいわいと辺りが一気に賑やかになる中…
「…どこの遊女だ。」
グリーンがポツリと呟いた言葉に一気にしんと辺りが静まり返った。
「…はあ?オシャレしてきた女の子に向かって言う言葉がそれなの!?信じられない!デリカシーのかけらもないわね!」
「思ったことを言ったまでだ。」
「ちょ…グリーン先輩、空気よんでください!」
「シルバーも睨むなって!;」
ムスッとしていたブルーは、突然コロリと表情を変えてニヤリと笑みをうかべた。
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