28 幼い日の約束は(前編)
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「いた!ちょっとー!!アンタ達ー!!」
突然、少し遠くから声が聞こえた。
「あ…」
ブルー、イエロー、ゴールド、シルバー…4人がこっちに向かって歩いてきていたのだ。
ブルーの表情をみると、明らかに怒っているのが分かった。
「どこ行ってたのよ!何も言わないでいきなり3人して消えて!!」
「イミテさん、これ、お昼食べたお店のマスターにもらったんです!」
そんなブルーとは対照的に、イエローはイミテ達を無事に見つけられたことが嬉しいみたいで笑顔で駆け寄ってきた…のだが、
「ひゃ…!」
段差につまづいて、イエローが盛大にバランスを崩す。
「!」
イミテが即座に反応してイエローを抱き止めた。
「大丈夫?」
「す、すいません!大丈夫です!え…!」
「あ…」
ふと気がつけば、空からひらひらと花がふっていた。
イエローが転んだ拍子に持っていた花束が宙に舞い、花が散らばったのだ。
「……」
ひらひらと舞い落ちる花を見て…思うー…
“誰にも負けねえぐらい、3人で強くなるぞー!!”
花が……舞う
“えへへ。祝福の花ふぶき!”
“おー。やるじゃん、イミテ”
“はあ…”
あの日の思い出が、切ないほどに思い出される。
「ぷ…ははは!イエロー、タイミング良すぎだろ!」
「フッ…」
レッドもグリーンも。
イミテと同じ事を思いだしたらしく笑っていた。
「うう…、そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
ムッとするイエローの頭を、イミテがふわりと撫でた。
「ありがとう、イエロー。」
「え…」
「イエローに出会えて良かった。」
「イミテ…さん?」
いつも以上に儚い、彼女がかもしだす雰囲気をイエローは不思議に思い、思わず名前を呼んだ。
ひらひらと花が舞い落ちる中で。
彼女は優しげな笑みを浮かべて続ける。
「ブルーにも、シルバーにも、…ゴールドにも。皆に会えて良かったって、心から思ってる。」
ゆっくりと、一人一人の顔を見回して。
「いろいろ大変なこともあったけど、人生のなかで何か1つでもで違ったら、皆に会えてなかったから。」
しっかりと告げる。
「だから。この選択をして良かった。ありがとう。」
イミテは変わらず、優しく微笑んでいて。
「「「…。」」」
そんな彼女に皆見惚れていたのだろう。
ひらひらと、変わらず花が舞い落ちるなか。
心地よい沈黙が、辺りを包んでいた。
レッド達のいる場所のすぐ近くにある建物。
その陰に息を潜める、少年少女の姿があった。
「……本当にこのままでよか?」
今まで無言で彼らの様子を見ていた少女…サファイアが、少年…ルビーに苦しげな口調で言う。
「アダンさんの予言だと、ほうっておけば明日…あの人達の誰かが死ぬことになるんやろ?」
やりきれない想いからか、サファイアはグッと胸をおさえる。
「…。」
「…っ、ルビー!」
無言のままのルビーに、思わず声をあらげた。
そこでようやく、ルビーはサファイアの方を見る。
「……僕らは救いの手を差し伸べたのに、あの人達が拒否したんだ。どうしようもないだろう?」
「でも…あたしは…。あの人に言われたとき、ドキッとしたったい。全部…本当のことだったから。」
“アナタもアナタで、やりたくないのなら、引き受けなければいいじゃない、こんなこと”
“アダンって人がアナタ達にとってどんな存在なのかは知らないけど…、アナタのその気持ちに気づかないような人の言いなりになってていいの?”
イミテにかけられた言葉は。
ぐるぐると、彼女の心をむしばんでいた。
「本当は嫌ったい。誰かに押しつければいいなんて考え。」
「サファイア…」
「アダンさんはすごか人やと思う。もちろん尊敬もしとる。でもたまに…むしょうに怖くなる。明らかに間違っていることを、何の疑いもなく信じているから。たまに、本当にすごく…怖くなるったい…。」
自身を守るかのように。
サファイアはギュッと自分で自分を抱きしめた。
「………行こう。」
「…うん。」
幸せそうに笑っているレッド達を遠目でもう一度見て、ルビーとサファイアはその場を後にした。
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