27 従うべき道とは
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「…は?」
思わず聞き返したのは、ゴールドだった。
レッドとイミテとグリーンはそれを聞いた途端、表情が真剣なものに変わり、イエローはごくりとのどを鳴らしていた。
「どういうことだ?」
「そのままの意味です。生きている人に、能力を移すんです。」
「その移された人はどうなるの?」
イミテが心なしか低い口調で聞いた。
「(ああ…これ、イミテ先輩怒ってんだろうな~…)」
ルビーに冷たく鋭い視線を向けるイミテの横顔を見て、ゴールドはぼんやりとそう思う。
「やだな。そんな暗い顔しないでくださいよ。能力を移された人は死ぬワケじゃないんですから。」
対してルビーは、努めて明るく笑っていた。
「移された人間が能力者になるだけです。」
「それ、連鎖がおきるだけで、変わらないよね何も。」
「いいえ。あなた達からは能力が消えます。」
「消えたとしても別の人が能力者になる。そしてまたその能力者が能力をうつせば、別の能力者が生まれる。ただ同じ事をくり返しているだけ。違う?」
イミテの言葉にルビーは、ははは、と笑う。
「あなた達の能力を移した人達の能力を移さなければ、そんなループはおきませんよ。」
「他人に能力を押しつけるってことか。」
途中から半ば呆れて聞いていたグリーンがため息とともにそうもらす。
「そんな言い方しないでくださいよ。そうすることで、世界が救われるんですから。」
「…。」
「(あれ…?)」
イエローは、流ちょうに話すルビーの後ろで、サファイアなぜか暗い表情をしていること気づく。
思い返せばさっきから話しをしているのはルビーばかりで、サファイアは一言二言しか話していない。
「あの…、」
思わず彼女に声をかけようとしたが、それをルビーの明るい声が遮る。
「それに、誰でもいいってわけじゃないんですよ。お年寄りとか死刑囚とか病人とか、もうすぐ命がつきてしまいそうな人に移せばさほど問題はな、」
パシン!!
乾いた音が、1つ響いた。
「ルビー!!」
倒れ込んだ彼のもとに、サファイアが心配してかけよる。
「…イミテ。」
「…うん。ごめん。我慢できなかった。」
イミテがルビーの頬をたたいたのだ。
「アナタの師匠…アダンだっけ?彼に伝えといてよ。」
頬に手を当て、呆然としているルビーに向けて、イミテは冷たい口調で続けた。
「立場の弱い人を犠牲にして能力をなんとかしようと考えてるなら、この能力者を追放するっていう制度をつくった人達と同じ思考だって。」
イミテは次いで、サファイアに視線をずらす。
ルビーがぶたれたことから敵意がわいたのか、サファイアはキッとイミテをにらんだ。
「アナタもアナタで、やりたくないのなら、引き受けなければいいじゃない、こんなこと。」
「え…」
「顔にでてたよ。“こんなことしたくない”って。」
「!!」
やっぱりイミテさんも気づいてたんだ、とイエローは心の中でつぶやいた。
サファイアが見せる、悲しげな表情に。
「アダンって人がアナタ達にとってどんな存在なのかは知らないけど…、アナタのその気持ちに気づかないような人の言いなりになってていいの?」
「な、なんも知らんくせにアンタにそんなこと言われる筋合いないったい!!」
「そうね、何も知らない。でも、アナタ達も私達のこと何も知らないよね。私達が他人を犠牲にしてまで自分の能力をなんとかしたいと感じてるとでも思った?」
「…っ、」
「……ごめん。今はアナタ達を罵倒する言葉しか浮かばないみたい。」
イミテは少し苦笑し、ふらっと歩き出すとその場を離れていった。
「イミテさん…」
「悪いイエロー。追いかけてくれるか?たぶんイミテ、今すげえ気が立ってると思うけど、イエローがいれば落ち着くだろうから。」
「!はい!」
イエローは元気よく返事をして、イミテの後を追う。
頼られたことが嬉しかったのだろう。
「さーて、」
改めて、レッドは彼らを見た。
「信じる信じないの問題の前に、根本的なところが合わないみたいだな、俺達は。悪いけど俺も、さっきの彼女の言うとおりでそこまでしてこの能力をなんとかしようなんて思ってない。」
「……そのちっぽけな正義感を尊重させたこと、いつか後悔すると思いますよ。」
ルビーはそう言い残し、「行こう、サファイア。」と言って、彼女の手を引き歩き出した。
「なあ。」
ゴールドがそんな彼らに声をかける。
「男なら、守ってやるべきなんじゃねーの?そいつのこと。」
「……。」
ルビーは何も言わなかった。
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