27 従うべき道とは
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改めまして、
僕はルビーで、彼女はサファイア。
僕らはホウエン地方という地域からやってきました。
え?うーん…どこにあるかと言われても…
そうだなあ。あえて言うなら普通に行こうとしても絶対にたどり着けない場所…ですかね。
そんな変な顔しなくても…、ちょ、バカにしてないですって!
真面目に話してますよ。
…失礼な人達だなあ。あ、いえ、何でもないです。
とにかく、ホウエン地方は空間の歪みの向こうにある…いわば異世界なんです。
まあ、文化とか価値観とかに違いはないので、ほぼ同じ世界だととらえてください。
あ、でもただ1つ、決定的に違うところがあって。
僕らの世界には能力者は存在しません。
追放されたからとかではなく、そもそも能力というものがないんです。
僕らの大師匠のアダンさんは、占い師…みたいなお方なんですが、
彼独自の力で、能力者が存在するこの世界での、彼らに対する非道な扱いを知って…とても哀れに思っていました。
そこで作られたのがこの杖です。
正確に言うと、重要なのは杖についている珠の方ですが。
僕が持っている杖には紅色の珠。
彼女…サファイアの持っている杖には藍色の珠がそれぞれついています。
この2つを同時に作用させることで…“ある事”ができるんです。
ふふ…あなた達には願ってもないことだと思いますよ。
…やだなあ。今からちゃんといますからそんなにらまないでくださいよ!
そのある事とは…、
“能力者の能力をなくすこと”
あー…予想通りの反応ですね。信じられませんか?
僕らにはできるんですよ。
そのための方法…つまり、この珠を操る方法をアダンさんにみっちり叩き込まれましたから。
僕とサファイアがこの珠を使えば、あなた達の能力は完全に消えて、普通の人間になることができます。
それに、何もこれが初めてなわけじゃありませんよ。
今までで合計3人の能力者を救ってきました。
僕らは2人でこの世界を旅しているんです。
能力者を見つけて、能力を消していく旅を…。
まあ、僕らもホウエン地方に戻らなければいけませんし、時空のゆがみができたときしか、この世界と僕らの世界をいききできないので、
そう頻繁にできるものじゃありませんが。
でも、今回の旅でアナタ達にあえてよかった。
実はずっとあなた達のことを探していたんです。
はい。先ほども言ったように、僕らの旅の一番の目的は出会った能力者の能力をなくすことですが…。
でもその傍らで、第二の目的として常に掲げていたものが、あなた達に出会って、あなた達の能力をなくすことだったんです。
どうしてそんなにあなた達にこだわるのかって?
“あなた達の能力がなくなることで、世界が救われる”
そういう予言がでたからです。
意味ですか?
うーん…詳しいことは分かりませんが、
能力のなくなったあなた達がこの世界に貢献する働きをするとか…じゃないですかね?
「世界が救われる…か。」
ルビーの話を聞き終えて、レッドは神妙な面もちでつぶやいた。
彼の話しにはいくつか信じられないような突拍子もないものがある。
異世界、予言、それに能力を消す力のある珠…。
「…今のお前の話には信憑性が何もない。」
「…そう言われると思っていました。まあ、当然の反応でしょうね。でも本当のことです。さっきの予言だって当たっていたでしょう?」
「“炎の能力者の記憶が戻る”っていう、予言?」
「はい。」
「でも、仮にその予言があたってたからといって、アナタ達が私達の味方とは限らないでしょ?サカキの手下とかで、私達を不利な状況に陥れるために今こうして接触をはかっているんだとしたら…」
イミテの鋭い眼差しが、ルビーとサファイアをとらえる。
「そんなことしないったい!あたし達は、能力をなくして世界を…、」
「サファイア。落ち着いて。仕方ないよ、僕達を信じてもらえる要素が何もないんだから。」
「そんな…」
「…」
イミテは彼らの動作や仕草を見ながら思った。
たぶん、彼らは本当のことを言っている。
人間誰もが、隠し事をしているときはその動作や仕草、表情に不自然な点がでるもの。
でも今の彼らにはそれが全くない。
特に…女の子、サファイアの方は感情を隠すことは苦手そうだから、偽っているということはないだろう。
「嘘ついてるようにもみえないけどな。俺達5人のところに2人だけで来たわけだし。」
「そうですねえ…。」
「そう思わせるためにわざわざ2人で来た可能性だってある。」
完全に敵意を向けられている彼らに同情したのか少し肩を持つレッドとイエローに対して、グリーンは全く信用していないようだった。
「そもそも能力をなくすって、そんな珠だけの力でなんとかなるもんなのかよ?」
ゴールドもかなり疑っているようで、小馬鹿にしたような口調で彼らに向けて聞いた。
「正確にいうと、珠だけではダメです。能力はやはり大きなエネルギーの塊のようなものですから、能力者が能力を使うときに媒介が必要なように、能力を、消すときにも媒介が必要なんです。」
ルビーはゴールドに対抗するように、詳しく丁寧に説明する。
「媒介って、普段使ってるものか?」
「それに能力を移すって事ですか?僕の能力は媒介がないんですけど…。」
「安心してください。違いますよ。」
ルビーの口元がニッと上がる。
「媒介は“人”ですから。」
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