27 従うべき道とは
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え?」とイエローが聞き返すよりも早く、イミテはびゅ、びゅ、っと矢を放つ。
無作為に四方八方に放たれた矢は、何本かの木に刺さった。
「ゴールド!分かった?」
「はい!まかせてください!」
今ので完全に空気が動いた。
息をのむ、気配がした。
ゴールドはダッと走り出して、茂み目掛けて棍棒を振り下ろした。
「おりゃあああ!」
攻撃に驚いたのか、そのかけ声に驚いたのか、茂みからはバッと2つの人影が飛び出す。
「!(子供…)」
自分より明らかに年下であろう少年、少女の姿に、イミテは思わず息をのむ。
まだあどけなさの残る顔立ち。
でもゴールドの攻撃を避けたときの身のこなしは完璧だった。
「だれ?アナタ達。」
見た目に騙されて油断してはいけない。
イミテは少女の方に弓を構えたまま言った。…いつでも矢がうてる万全の状態で。
「…。」
少年は無言のまま少女の方に目をやる。
そしてこの状況は不利だと判断したのか、両手を上にあげた。
「僕たちはアナタ達と戦うつもりはありません。弓を、おろしてもらえませんか?」
「…。」
「やっぱり信用してもらえませんか…。だったらそれでもいいんで、それ、彼女じゃなくて僕に向けてください。」
「ルビー!何言ってると!?」
「……どうして?自分なら矢を避けられるとでも思ってるの?」
「いいえ。ただ…彼女に矢が向けられてるのはどうも、落ち着かないので。」
少年は苦笑して言う。
「…。」
その瞳は嘘をついているようには見えなかった。
「イミテさん…!」
「うん、分かってる。」
こらえきれなくなったイエローがイミテに声をかけ、イミテは弓をおろした。
「動かないでね。信用したわけじゃないから。アナタたちが私達を陰から見ていたのは事実…。目的は、何?」
「…僕らは、アナタ達を、呪縛から解放するために来ました。」
「呪縛…?俺達が呪われてるって言うのか?」
突拍子もない発言に、ゴールドは思いっきり顔をしかめる。
「はい。能力者っていう、呪縛から…ね。」
「「「!」」」
彼らの前で能力を使ったことはない。
どこかで見られていたとしても、気配に誰かが気づくはずだ。
「どこでそれを知ったの?誰かに聞いた?」
「予言です。僕らの、大師匠の。」
「は?何意味わかんねーこと話し始めてんだよ。」
「信じて欲しいとは言わないけん。ただ、聞いて欲しいったい…!」
今まで黙っていた少女が必死な様子で訴える。
口調に独特のなまりがある。
…この辺りでは聞いたことのない喋り方だ。
「アナタ達、名前は?」
「僕がルビーで。こっちが、」
「サファイアったい!」
「…。話、聞いてもいいけど、まだ信用はできない。それでもいい?」
「はい。全てを聞いた上で判断してくれればいいですから。」
少年はにっこりと笑う。
その笑顔は明らかに作られた笑顔であったが、隠そうと下手に中途半端な笑顔をつくられるよりはよっぽどいいように感じた。
「ゴールド。この男の子の方よろしく。私は女の子を連れて行く。」
「いいんスか?こんな胡散臭いの。」
「僕がレッドさん達のこと呼んできましょうか?連れていくよりそっちの方が早い気がしますけど。」
「ううん。それは…いいや。」
イミテは言葉を濁す。
わざわざ連れていく理由は、レッドが目を覚まさずに動けないからなのだが、それを敵か味方かも分からない彼らの前で言うのは気が引けたのだ。
しかし予想に反して、少年が言う。
「その人達、その場所から動けないんじゃないんですか?」
「!」
近からずも遠からず、大体当たっていた。
「さあ?ねえ、当てずっぽうにしては、自信満々な表情してるけど、どうして?」
イミテはそれをなるべく表情に出さないようにして、それを笑ってみせる。
「当てずっぽうなんかじゃないですよ。ほぼ確信があって、言いました。」
「炎の能力者の記憶が戻ったんやろ?」
「!なんでそれを…!?」
今度こそイミテの顔色が変わる。
自分とグリーン以外はまだ誰も知らないはずなのに。
「本当なんですか!?イミテさん!」
イエローの言葉にイミテは頷く。
「てめぇら、どっかで盗み見してたんじゃねえだろうな?」
「人聞きの悪いこと言わんといて!」
「…全ては、予言通りなんですよ。」
少年は、あやしく笑った。
.