27 従うべき道とは
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「…っ、(夢…?)」
目を覚ましたとき、レッドの意識はやけにはっきりとしていた。
まるで冷水を頭からかけられた後のような、そんな感覚。
これは記憶が戻ったおかげだろうか。
周りを見回すと、森で、自分が寝袋の中にいることが分かった。
どういった経緯でここにいるのかは分からないが、夢の中にでてきた思い出が彼の頭の中をかけめぐる。
「(情けないよな。イミテのお父さんと約束したのに。)」
そんなことを思いながら。
レッドがぼーっとしていると、「起きたのか。」と、グリーンの声がした。
「身体は?」
「え?」
「どこか痛むか?」
「いや、なんともない。」
「そうか。昨日のこと、覚えてるか?」
「何となくなら…。ゴールドとイミテがもめて、記憶が戻って、それで…」
そこからが思い出せない、と、レッドは黙りこむ。
「俺は見たわけではないから詳しいことは分からないが、イミテが、記憶が戻ってしばらくして意識を失ったと言っていた。」
「ああ…それでか。」
記憶がぷっつりと途切れているのは。
「え…それって俺運んだのイミテか?」
「バカか。俺が運んだに決まってるだろう。」
「はは、そうだよな。さんきゅ。というか、イミテは?イエローとゴールドもいないみたいだけど。」
「俺とイミテがお前を運んでここに来たときにはアイツらはいなかった。それで今イミテが探しにいってる。」
「イミテが?」
レッドの表情が一瞬で不安気なものに変わった。
昨日の今日だというのに、ゴールドのことは大丈夫なのだろうか。
「イミテが…自分から探しに行くと言ってな。」
そんなレッドに、グリーンが説明する。
「昨日、あんなことがあったからこそ、解決しにいったんだろう。」
「…たくましいな、相変わらず。」
レッドは苦笑をもらす。
「(相変わらず、か。)」
優しげな、レッドの表情に記憶が戻ったことが現れている気がした。
そしてきっと、記憶とともに彼女に対する想いもー…
「いたよ、サファイア。アダンさんの予言通りだ。」
「うん。珠が反応してるったい。」
サファイアと呼ばれた少女は、手にしていた杖の先端についた珠にチラリと目をやって言う。
その珠の色は、深い深い…藍色。
「紅色の珠も反応してるよ。間違いないね。…能力者だ。」
それとは対照的な紅い珠のついている杖を持った少年は、笑みをこぼす。
「でも、2人しかいないったい。予言だと5人いるはずやろ?」
「正確に言うと、5人と、あと後から2人だよ。5人組は一緒に行動しているはずだから後をつけよう。」
「ええー!ここまで休まずに来たのに、まだ休憩せんと?」
「なんだ、もう体力が限界なのかい?だらしないな。だから木の葉の皮布なんかじゃなくて、寝袋持っていったほうがいいよって言ったのに。」
「うるさいったい!アンタみたいに化学製品に囲まれた生活はしたくなか!」
「ばか!しっ…!」
少年はとっさに少女の口を手でふさぐ。
バレてしまっただろうかー…、と彼らに目を向けると、辺りを警戒するように見回していた。
「すまんち。ルビー。」
手をどかせば、少女はしゅんとしてつぶやいた。
「大丈夫だよ。居場所はつかまれてない。下手に動くと危ないから、このまま気配を消して待とう。」
少年の言葉に少女はこくりと頷いた。
「何も聞こえなくなりましたね。」
ぴんと張りつめた空気の中、イエローが言う。
「でも、気配が動いたのは確かッスよ。」
「どうしましょう…一旦レッドさん達のところに戻りますか?」
イエローはゴールドの意見を仰ぐ。
戦闘経験のない自分より、ゴールドのがよっぽどこういう状況の判断に長けているからだ。
「戻るのは逆に危険ッスよ。気配が動いてないっつーことは、まだどっかに隠れてるから…後をつけられる可能性がある。」
言いながらゴールドは意識を集中させるが、居場所が特定できない。
「(そこらの雑魚とは違うってか?)」
どちらが先におれるか、長期戦になりそうだ。
「あ…!イミテさん!」
イエローの言ったほうを見れば、イミテがこっちに歩いてきていた。
「何してるの?」
イミテは静かに言うが、その言葉には何だかピリピリとしたものを感じた。
「えっと…すいません、話をしてたらおそくなっちゃって…。心配かけちゃいましたよね?」
イエローは戸惑いながら言う。
するとイミテは優しく笑って、「そうじゃないよ。」と言った。
「隠れてる人達に言ってるの。」
「!気づいてたんですか!」
「…さすがイミテ先輩ッスね。」
気まずさがあるようで、ゴールドは目を合わせないままで言った。
「ゴールド。居場所は分かる?」
「それがさっぱりなんスよ。」
「(ゴールドでも分からないのか…)」
以前盗賊をやっていたゴールドは、辺りを探知する力はイミテよりも優れている。
「じゃあ…相手に隙を見せてもらうしかないね。」
イミテが小さく言った。
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