02 揺れる金は儚くて
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「1人で俺達に勝てると思って…、!?」
ボッと、レッドの剣先に炎が宿る。
そう…能力を使ったのだ。
「能力者…!?」
「に、逃げろ…!」
「おい、こら待て!逃げるな!…くそ!」
次々と軍人達は逃げて、とうとう残ったのは1人だけになった。
彼はやけをおこしたようにレッドに剣を振りかざす。
「……。」
レッドは剣でうけとめ、いとも簡単にはじき返した。
カキンと、辺りに金属音が響く。
「……!能力者がいたと通報してやる!ただですむと思うなよ!」
力の差を痛感したのか、軍人はそんな捨てゼリフをはき一目散に逃げていった。
レッドはふう、と息をつき、そして少女の方に体を向ける。
「……ごめんな。」
「え……?」
「怖い…よな?能力者なんて、初めて見ただろ?でも…君に怪我がなくてよかった。」
複雑な心境のまま、少女に笑いかけた。
レッドは、少女に近づこうとはしない。
おそらく怖がらせないように、と一定の距離を保っているのだろう。
「………。」
そんなレッドの様子に気づいたのか、少女は少しずつレッドに歩みよった。
そして、彼の手をパッとつかむ。
「アナタは…、怪我…してます。」
さっき軍人の剣を受け止めた時にかざってしまったのだろうか、確かにレッドの手には浅い傷ができていた。
「へ…?ああ!これくらい平気さ!」
レッドがそう明るく笑った直後、パアッと少女の手元が光った。
「!?」
驚きながら手を見れば、傷がキレイさっぱり消えている。
「助けてくれてありがとうございます。怖くなんかありません。僕も…能力者だから。」
「!」
少女はにっこりと笑った。
「光の能力なんで、治癒専門ですけどね。」
「…もしかして、能力者だから無理矢理軍人にされて、逃げ出すために王を暗殺しようとしたのか?」
「いえ…軍人には、自分で望んでなりました。」
少女は1回うつむき、そして意を決したように顔をあげた。
「…力をかしてもらえませんか!?」
「え…?」
「僕は……イエローと言います。」
少女―…イエローは、レッドに今までの過程を全て話した。
軍隊になった理由。
王を暗殺したいと思っている理由。
自分の能力のこと、故郷の森のこと。
そして……、捕らわれている者がいること。
「お願いします…!僕、何としても彼女を助けたいんです!」
イエローは必死にうったえる。
レッドはそれに対し、フッと笑みをうかべた。
「俺でよければ協力するよ。」
「本当ですか!?」
「ああ。そんないい奴…見殺しにできないもんな。」
もともと正義感の強いレッドだ。
イエローの必死な様子と、自分を犠牲にしてまでイエローを逃がしたという少女に、心をうたれたのだろう。
「はい!本当に…いい人なんです…。」
イエローは思い返すようにポツリとつぶやく。
自分のことを何度も助けてくれた。
温かい言葉をくれた。
彼女が自分に向ける表情は、すごく優しいもので…一時だけれど、王に対する憎しみを忘れることもあった。
一緒にいた時間は長いとは言えないけれど、
すごく、すごく…、優しい人だと感じた。
「とりあえず場所を変えよう。いつ軍人達が戻ってくるか分からないから。」
「はい…。」
「大丈夫。きっと、助けだせるさ!だからそんな顔すんなって!」
ニカッと笑ったレッドにつられて、イエローもほんの少し笑顔になった。
イエローの胸に、小さな希望が宿る。
この人なら…救ってくれるかもしれない、と……。
偶然か、必然か
まもなく、
世界で一番
愛しい人のもとへ
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