26 それが心の全て
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一通りの説明を聞き終えて、レッド達はマサラの住民達がいるのとは反対側の町外れの林で野宿をすることにした。
幸いにもそこは、ニビシティの方面であり、援軍が来るとすればそこを必ず通ることになる。
つまり、いち早く対処できるわけで、好都合であった。
「一体誰だったんでしょうね。マサラタウンを救ってくれた人って。」
イエローは夕飯のポトフを口に運びながら、神妙そうな顔で切り出した。
「本当に先輩達、心当たりないんスか?」
「知らん。」
ゴールドの問いをばっさりと切り捨てるグリーン。
「軍関係となると、有力なのはカツラさんが手を回してくれた…か、事態を知ったエリカが何かしたかのどっちかだけど…」
「カツラさんだったら、俺らがグレン島を出る前に伝えて、マサラに行くのをなんとか引き止めるだろうし、エリカは…自分の国のことで手一杯でどうにもできない気がするんだよなあ…」
「そこなんだよね…」
唯一考えられると思われる仮説も、こうして呆気なく崩れてしまう。
「にしても、あの数の軍人を1人で蹴散らすなんてすっげえ奴ッスよね!戦ってみてぇなー!!」
「はは!ゴールド、いつにもなくやる気だなー。」
「あったりまえッスよ!あー!!レッド先輩!飯食い終わったら一勝負しません!?」
「あー…わりぃ。俺、行くとこあるから。」
「行くとこ?どこッスか?」
「まあ…その辺をぶらぶら?」
「ただの散歩じゃないッスか!つれないッスよ!レッド先輩!」
「わりいわりい。明日なら相手してやるから。」
「…俺が相手をしてやってもいいが?」
穏やかな雰囲気で進む会話を聞いて、グリーンが表情1つ変えないまま言った。
「「「え!?」」」
レッド、イエロー、ゴールドの驚いた声が重なる。
「…何だ、その反応。」
「いやあ…グリーンがその反応するって珍しいなあって思ってさ。」
「このポトフ、変なもの入ってたんスかねえ!?」
「お前ら…」
「3人とも落ち着いてください…!」
イエローが3人をなだめる。
グリーンははあとため息をついて続けた。
「少しでも戦力を上げることが賢明だ。この先、何がおきるか分からないからな。」
「たしかにね。」
グリーンの言葉に、イミテが静かに頷いた。
「…軍人を倒した人が敵だったらシャレにならないし。」
その男が何者か。
その事実はきっとこの先の旅路を左右する。
「こ、怖いこと言わないでくださいよ…イミテ先輩。敵だったらそんなの、勝ち目ないじゃないッスか。」
「ゴールドさん。そんなことないですよ。」
「へ?1人だと無理でも、仲間がいれば分からないですから。」
「!」
仲間と挑めば、どんな困難だって、きっとー…
「そうッスね!じゃあグリーン先輩!修行お願いします!」
「ああ。…その前に見張りの順を決めておく。まず、」
「修行終わるまでは私が見てるよ。レッドはいないし、イエローは…眠いでしょ?」
「ちょ…イミテさん!僕だってもう少しぐらいなら起きてられますよー!」
「あはは。とりあえず、いいよ。何かあれば能力使って知らせるから。」
「…。」
グリーンは少し考え込む。
見張りは、記憶喪失のことを考えるとレッドには任せられないし、ゴールドよりも自分かイミテのが土地勘も有利に働く。
自分とイミテがメインで見張ったほうがもしもの時の効率は良さそうだ。
「修行が終わったら俺が交代に行く。」
「了解。」
一旦話が終わったところで、グリーンはレッドに目をやった。
「…ところでレッド。」
「ん?」
「どこに行くつもりだ?ここ(マサラ)で1人になってもしものことがあったらどうする。」
グリーンが言っているのは、昼間のような記憶喪失による頭痛があったらどうするんだ、ということだろう。
今でこそ調子は良さそうだが、いつ何が起きるかは分からない。
「心配すんなって。近場をうろつくだけだ。気分転換に、さ。」
「…。」
イミテはそれを聞いて何となく予想をたてていた。
…自分といると、記憶を思い出しそうになって辛いのではないかと。
だから、なるべく離れたところに行きたいのではないかと。
「…気をつけて。」
イミテが言う。
もちろん、レッドが記憶を取り戻してくれたら何よりなのだが、昼間のように苦しむ姿は見たくない、
それが本音だった。
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