02 揺れる金は儚くて
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「本格的に吹き矢にしこんだ薬が効いてきたようだな。」
「く…!」
悔しそうに顔を歪めるイミテ。
王はそれを見て楽しそうに笑う。
「貴様はさっき、なんとかなる、と言っていたな。かつての手下だからと言って私が貴様を許すと思ったか?」
イミテも対抗するように、笑みを浮かべて言った。
「まさか。アンタの無情さは、とことん知ってる、から…ね。」
「ワハハハ!口の減らないやつだな。……イエローを見捨てていれば、貴様は逃げられたというのに。」
「私、は…あの子を逃がせて満足してる。アンタとは、考え方が違う、の…。一緒にしな…い…で、」
カランと、イミテの手から弓矢が滑り落ち、
次いで彼女はその場に倒れた。
薬がまわり、深い眠りにつく。
「フン。強がりを。つくづく、バカな奴だ。」
「牢屋に連れていけ。」と王は何の躊躇もなく続けて言った。
「(ここが、ニビシティ…。)」
レッドはキョロキョロと辺りを見回しながら歩いていた。
灰色の町と称されるこの町は、コンクリート造りの建物が多く、緑はほとんど見当たらない。
そして、一際目立つのは町の中心にそびえ立っている大きな城。
城壁で囲まれていて中の様子は全く分からないが、なんだか堅苦しい雰囲気だ。
今、レッドの隣にグリーンの姿はない。
お互いに情報を集めるため、別行動をしている真っ最中なのだ。
「(やっぱ人目につかないとこのが…噂とか情報とかいろいろ聞けるよな…?)」
あまり自信はないがとりあえず行ってみよう、とレッドが入り組んだ路地裏を歩いていると…、
ドンッ!
「!?」
「きゃっ!!」
突然、曲がり角から人が飛び出てきてレッドにぶつかった。
「ごめん!大丈夫か!?」
小さく悲鳴をあげて倒れたその子に、レッドはすぐさま手を差し伸べる。
「(え…?)」
そしてよくよく見て、目を疑った。
その子が、軍服を着ていてしかも自分よりも年下であろう少女だったから。
「あ、ありがとうございます…!」
「いや…、(女の子なのに…軍人…?)」
「……、」
レッドが唖然とした表情で自分を見ていることに気づき、少女はフイッと目をそらす。
「君…、」
レッドが少女に話しかけようとした時、
「いたぞ!こっちだ!!」
先ほど少女が出てきた角から、軍人がぞろぞろと走ってきた。
状況の分からないレッドは、とりあえずイエローをかばうようにして前にでる。
「…何なんですか?」
「お前、その娘をこちらに渡せ。そいつは王を暗殺しようとしたんだ。」
「!」
レッドは驚きながらも平静を装い、チラリと少女の方に目を向ける。
少女の目には…涙がたまっていた。
「……。」
「おい!早くしろ!そいつは王に刃向かったんだぞ!!」
「王、王って…そんなにえらい奴なのか?」
レッドは軍人達を見据えて言う。
「俺はこの町の王がどんなにえらいのかは知らないけど、こんな女の子に暗殺を考えさせるような奴は…きっとろくな王じゃない!」
「貴様…!その言葉、王に対して侮辱ととるぞ!貴様もその娘と共に牢獄におくってやる!」
バッと軍人達が剣をレッド達に向けた。
「待ってください!この人は関係な…」
慌てて声を張り上げる少女の言葉をレッドがスッと手を前に出してさえぎる。
「(こんな狭い路地裏で戦うのは不利だな…。仕方ない…、)」
次いで、剣を軍人に向ける。
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