25 音をもてない言葉
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「心強いな。」
レッドはそう言って笑って、他の皆も穏やかに笑っていた。
「そうなると、これからはお前達も含めた7人で旅することになるのか。」
グリーンがポツリとつぶやいた一言に、ブルーは「まさか!」と声をあげた。
「今でさえ5人で多いのに、これ以上増えたら動くに動けないわよ。ここに来るまでの貨物船の部屋の確保とか宿の手配とかで思い知ったわ。」
「じゃあ…」
「ええ。今まで通り、あたしとシルバーは2人で旅をする。その中で得た情報をアンタ達に伝えに来るわ。」
だから発信機は変わらず持っていてね、とパチリとウインクしたブルー。
発信機(という名の盗聴器)を持っているゴールドは「…へいへい。」と若干嫌そうに気の抜けた返事をした。
「で、今後の予定なんだけど、あたし達は元来たルートを戻ってクチバシティに行くわ。」
「!?姉さん、クチバにはまだマチスの手下だった奴らがウロウロいるから、別のところに、」
「だからよ!」
ブルーはシルバーの言葉を遮って楽しそうに笑う。
「マチスの元手下ってことは、マチスが仕えてたサカキについての情報を何かしら持っている奴らが必ずいるはず。そこを狙うの。」
なるほど、といったような表情をゴールドやイエローが浮かべていた横で、「待て。」とグリーンが話を止めた。
「確かに情報を持っている奴らはいるだろうが…、必然的にそいつらは力が上の奴らになる。」
「…そうね。」
グリーンの言葉にブルーは分かっていたとでもいうように頷いた。
力の弱いものは直接的にマチスに関わらないような、それに見合った仕事をする。
以前クチバで路地裏にたむろっていたもの達がそれにあたるのだろう。
逆に力の強いものは認められマチスの側で仕事をすることが多くなり、必然的に裏の情報…サカキについての情報も入ってくるというわけだ。
まあ、ブルーとシルバーはマチスから直接的な命令を受けて動いていたが、能力者ということもあり、裏の情報はほとんど入ってこなかったのだが。
つまり、ピラミッドのような関係で成り立っていたマチスのその手下達から情報を得ようとするには、
質のいい情報ほどそれを得るリスクが伴うということだ。
「でもあたし達だって、そんなに弱くないわ。それにクチバシティの地理も完璧に頭に入ってる。あたしとシルバーはかなりの“古株”だもの。こっちのが圧倒的に有利よ。」
「…。」
「もしもの時はあたしが囮になってシルバーを逃がして、アンタ達に助けを求めるわ。チームワークには誰よりも自信があるもの♪」
ご機嫌な様子で言ったブルーに対して、シルバーが大声をあげる。
「!?俺は姉さんを見捨てて逃げるなんて絶対にしない!!」
「ちょ…!シルバー!黙ってなさい!嘘も方便っていうでしょ!今このお堅い人を何とか説得してるんだから!」
「…。」
もちろんブルーのその言葉は丸聞こえで、グリーンは呆れたようにため息をついた。
「いいじゃん、グリーン。そんな心配しなくてもさ。ブルーもシルバーも引き際ぐらい分かってるって。な?」
「ええ、もちろん!イミテも何か言ってやってよ!」
ブルーはイミテの両肩に後ろから手を置くと、頬をふくらませながら彼女をはさんでグリーンを軽く睨む。
「まあ…いいんじゃない。…でも、1つだけ条件つけていい?」
「?なに?」
「ブルーもシルバーも、2人とも無事であること。無茶はしなくていいから。」
「!」
イミテのその言葉が自分達を心配するものだと分かり、ブルーはにっこりと笑って言った。
「もちろんよ!」
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