24 君が生きた証
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その後、イミテとハヤトは共に仮面の男達を船まで連行した。
気絶していた彼らをハヤトがたたき起こし歩かせたため、それほど苦ではなかった。
じんわりとその思いを噛みしめているのか、聞きたいことはあるが仮面の男達がいるから聞けないのか、
ハヤトがゴールドのことについてそれ以上たずねてくることはなかった。
もちろん、イミテからもあえて話そうとは思わず、船に着くまで沈黙が続いた。
彼らが船の停まっている場所についたときには、グリーン達に加え、すでにレッド達もいた。
イツキが無事に見つかり捕らえられたらしい。
これで全て問題は解決した。
「ありがとう。」
仮面の男達を船に乗せ船が出航したとき、ハヤトはイミテに向けて、そう言った。
そのただ一言が、ハヤトが感じた気持ちの全てを代弁しているようにも思えた。
イミテはフッと、優しい笑みをただ彼に返した。
全ての問題が解決し、レッド達はカツラの家で夕飯をごちそうになることになった。
テーブルにずらりと並ぶのはグレン島の名物だというごちそうの数々。
「うわ!うまそー!」
「ホント、すごい豪華ですね…!」
「それにしてもカツラさん、いいんですか?ごちそうになっちゃって。」
「もちろんだとも。仮面の男達を捕らえてくれて、君達には感謝しきれないぐらいだよ。遠慮せずに食べてくれ。」
カツラは少々眉を下げて笑いながら続ける。
「とはいってもあり合わせのお惣菜ばかりだが…。すまないね。町に行けばできたての食事が食べられただろうけど、仮面の男の騒動で皆神経質になっているだろうから。」
「とんでもない、じゅうぶんすぎるほどですよ。」
「…食べる前にしっかり毒味はしてもらうがな。」
「グリーン、失礼だろ!」
「俺はまだはっきりと敵でないと確信したわけじゃない。」
グリーンはきっぱりとカツラを睨むように言った。
「ははは。いいよ、別に。仲間うちにグリーン君のような慎重な子がいれば安心だな。」
カツラは愉快そうに笑っていた。
「それにしても、ゴールドはどこに行ったの?倉庫を出てから全く姿を見ないけど…」
ブルーが聞く。
そう、この場にいない人物が約1名…。
「どこに行ったんでしょう…。イミテさん、この周辺の見張りお願いしたんですよね?」
「…うん。」
とりあえずそんな嘘をついて切り抜けていたのだが、そろそろそうもいかないようだ。
「私、その辺り探してくる。先に夕飯食べてて。」
「1人じゃ危ないですよ。僕も行きます。」
「仮面の男も捕まってもう敵はいないし、危険なものは何もないよ。あ、できれば2人分、食事取り分けといてくれる?」
「え…」
「遅くなっても、気にしなくていいから。」
「イミテさ、」
イエローが止めようとするが、その前にイミテは外へと出て行った。
「レッド。何があったんだ?」
異様な雰囲気に気づいたグリーンが周りに気づかれないようにレッドに聞くが、彼は、
「一段落したら伝える。今は何も聞かないでやってくれ。」
と言って、ただ苦笑いを返すのだった。
「(まだここにいるよね、きっと。)」
外にでたイミテが一番に向かったのは倉庫だった。
ゴールドはハヤトがもうこの島にいないことを知らない。
うかつに出歩いて偶然彼に出くわしてしまう可能性を考えると、そのまま動いていないだろうと予測したのだ。
扉を開けて、上を見れば…やはりゴールドは数時間前と同じ体勢で、天井の柱に寄りかかっていた。
「ゴールド。」
返事はない。
「ゴールド。」
もう一度呼ぶ。
「…ゴールド。」
「……なんスか。」
3度目でようやく返事が返ってきた。
怖いぐらいの冷たい声色だったが。
「夕飯、カツラさんが用意してくれたよ。」
「…いらないッス。」
「ゴールドが前食べて美味しいって言ってた、グレン風火山ハンバーグ…だっけ?あれもあったけどいらないの?」
「…。」
「降りてきなよ。早くしないとなくなっちゃうよ。」
「…。」
「それにあったかいほうが料理はおいし「なんなんスか?さっきから。」
イミテの言葉を遮ってゴールドが言う。
暗い陰になっていて、その表情はうかがえない。
「気ぃつかってんのすげぇよく分かりますよ。」
「うん。だって実際、気ぃつかってるし。」
「…っ、やめてくださいよ、そういうの。あわれにでも思ってるんスか?」
「…じゃあ本音を言おうか?」
イミテはそのまま続けた。
「いつまでそこにいる気?皆心配してるの分かってるくせに、その態度はただの甘えにしか思えない。そのくせ気をつかって欲しくないなんて生意気すぎる。」
「……そりゃあ言い過ぎでしょ、イミテ先輩。」
ゴールドはハハッと苦笑いを返す。
「とにかく降りてこないつもりなら、能力使って強制的に引きずりおろすけど?」
「それは勘弁。」
ゴールドはひょいっと、天井から飛び降りる。
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