24 君が生きた証
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「それにしても…」
「はい。」
「さっきから何か探るような目をしているね。君たち2人は。」
「「!」」
唐突に、ハヤトが言った。
バレないように慎重に探りをいれていたのに見破られたのか。
先ほどのイミテの演技にも劣るところはなかったはずなのに?
「茶髪の男の子もそんな素振りを見せていたが…やっぱり俺達のことを怪しんでいるのかい?」
「…すいません。」
確信をもったような彼の口調に、もう隠しても無意味だろうとイミテが答える。
まあ、厳密に言えば怪しんでいるのではなく、ハヤトという人物について探りをいれていたのだが。
さすがにその意図までは感づかれていないようだ。
「謝らなくてもいいさ。敵か味方か分からない人物について疑うのは普通の行動だしね。」
「それにしても…鋭いんですね、ハヤトさん。」
「まあ、こういうことをやってると指名手配の罪人とかと接触する機会が多くなって、嘘を見破らないといけないから…、必然的に洞察力が鋭くなるんだ。」
「(それだけじゃなく、実は軍人で、こういうことに鋭いって可能性もあり得るけど…。)」
なかなか確信にはたどり着けない。
彼に対する疑念は、消えてはまた浮かび上がる。
「でも話してみて、すんなり受け答えしてくれるし怪しい素振りも特にないし、ハヤトさんが敵ではないってことはもう確信をもって言い切れます。」
「そうか。良かった!刑期が終わった囚人みたいな気分だ。ははっ。」
ハヤトは楽しそうに笑う。
…バレてしまってはもう探ることは無理。
直接ゴールドと彼を会わせて、反応を見るほうが手っ取り早いだろう。
そして、そのためには…
「レッド。仮面の男たちのことは私がハヤトさんを手伝うから、レッドはブルーとシルバーと一緒にイツキの捜索してくれる?」
要するに、なるべく第三者の数を少なくし、ゴールドとハヤトが接触できる環境をつくろうという考えだ。
「…。もし手に負えなくなったらどうすんだ?」
レッドはイミテの考えを察している。
その文章の主語は端から見れば“仮面の男が”だが、おそらく真相は“ゴールドが”という意味だろう。
「平気。そうなる前に止めるから。」
イミテは弓にそっと手を当てて言う。
「俺も拳銃を持っているから、いざって時でも平気だよ。」
「(!ゴールドとハヤトさんが衝突するようなことがあったら、まず彼の拳銃を奪うことからしないと…)ほら、レッド。ハヤトさんもこう言ってることだし。」
「…。」
少々不安は残るものの、イミテの方が自分よりもゴールドから彼自身に起こったことを聞いている。
レッドも大体の成り行きは知っているが、それは盗み聞きしたからであって、ゴールドが自分から話したのはイミテ1人だけだ。
いざという時に耳を貸すのは、きっとイミテの言葉だろう。
「…無茶はするなよ?」
「うん。」
少々不安ながらも、レッドはそう声をかけるしかなかった。
倉庫にたどり着いた3人。
「中にいるヤツらに説明してくるんで、待っていてもらえますか?」
「ああ、かまわないよ。」
ブルーとシルバーに今後の行動についてと、ゴールドにはそれとなくハヤトのことを説明しなければいけない。
ハヤトに許可をとり、2人は中に入る。
「あ!お疲れさまッス!」
「遅かったじゃない。待ちくたびれちゃったわ。」
「散々俺をからかって遊んでたくせに…。」
ポツリとゴールドが不服そうにつぶやく。
「浮かない顔をしているが…何かあったのか?」
シルバーが聞いた。
この子は鋭いなあと思いながらイミテは「何もないよ。」とただ一言返す。
「というか、仮面の男達はまだ気絶してんのか?もう目覚ましてるころかと思ってたけど…。」
「ああ…1回目覚ましたんスけど、ブルー先輩達のこと挑発してたからまた気絶させたんスよ。」
「なるほど。ブルー、シルバー。イツキがまだ逃げてるから、俺と一緒に探すの手伝ってくれるか?」
「ええ。」
「え?レッド先輩、俺は?」
「イミテと一緒に仮面の男に手錠かけたり…まあその辺の手伝いかな。」
「了解ッス!」
「…じゃあお願いね。あ、彼はこっちのタイミングで呼ぶから。」
「おう。」
レッド達が倉庫からでるのを見送って、イミテは改めてゴールドに向き合う。
「?呼ばないんスか?カツラさんの仲間。」
「呼ぶ前に…ゴールドに伝えなきゃいけないことがあってね。」
「何スか?改まって。ハハッ!まさか愛の告白とか?」
ゴールドはいつもの調子でおちゃらけた表情を見せるが、イミテの表情は真剣なままだ。
何かを察したのかゴールドも真面目な表情になり、「なんスか?」ともう一度聞く。
「ごめん。」
「え…?」
「確信はないけど、ゴールドに嫌なこと思い出させるかも。」
そう言うとイミテはすうっと息を吸い込み「入ってきてください…ハヤトさん。」と、よく通る声で言った。
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