24 君が生きた証
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「困っていたって…アナタは軍人なんですか?」
「いや…違うよ。まあしいて言えばボランティアみたいなものかな。」
青年は苦笑して言う。
「そういえば名乗っていなかったね。失礼。俺の名はハヤトだ。」
「「(!)」」
彼が名乗った瞬間、相手には気づかれないように反応したのはレッドとイミテだった。
ハヤトとは…ゴールドが幼い頃の話しにでてきた人のはず…。
確か軍人であり、ゴールド達を裏切った人。
「レッド。気づいてる?」
イミテはこっそりとレッドに小声で話しかける。
「ああ、たしか同じ名前だったよな。でも軍人じゃないみたいだし、偶然名前が一緒なのかも…。」
「…確かめる必要があるね。」
試しにジッとハヤトの方を見てみた。
「カツラさん。罪人はいつものあの倉庫ですか?」
視線に気づいていないのかハヤトは変わらず爽やかな笑顔でカツラに話しかける。
「そうだよ。私が連れてこよう。」
「いえ。皆でここに居てください。場所はもう頭に入ってるんで、俺が行ってきます。」
それを聞いたイエローが「あの…」と控えめに話しかける。
「1人じゃ危ないですよ?まだ仮面の男の仲間が1人逃げているわけですし。僕達も手伝います。」
「それに、1人になったときに不信な動きをされたら困るからな。」
「グリーン。」
イミテがグリーンの名前を呼ぶ。
一言多いといううったえだろう。
「残る組と、彼に着いていく組、2人ずつに別れるか。」
「そうだな。そのいまだに逃げている奴は吹き矢を使うと言っていたな?だったらそれぞれの組に遠距離型の戦術者がバラけるように…」
「いや。グリーンとイエローはここにいてくれ。カツラさんのこと頼む。」
「へ…」
「…分かった。」
レッドの真剣な表情に何かを察したグリーンは首を縦にふる。
「そっちもまとまったようだね。それじゃあ行こうか。」
ハヤトの言葉を合図に3人は歩き出した。
「改めて自己紹介しておこう。俺はハヤト。君たちは?」
一旦足を止めくるりと振り返り、最初に話しを切り出したのはハヤトだった。
「俺、レッドです。」
「私はイミテです。(さて、探ってみるか…。)」
イミテは瞬時にこりと作り笑いを浮かべて、ハヤトに向けて手を差しだした。
「ああ。よろしく。」
ハヤトはなんの抵抗もなく、その手を握り返す。
「…。」
イミテはその手をジッと見つめたまま無言になる。
…もちろん演技だが。
「?どうしたんだい?」
「いえ…嫌がらないんですね。能力者に触れること。」
「ああ、そういうことか。」
ハヤトは優しい笑みをうかべる。
「別に嫌がる理由なんてないからね。」
「え…」
「能力が使えるか使えないかの違いだけで差別すらなんておかしいだろ?」
「…ありがとうございます。」
彼に嘘をついている様子はない。
どうやら本心のようだ。
ハヤトが歩き出したため、レッドもイミテもそれに続く。
「君たちは旅をしているんだって?事情はカツラさんに軽く聞いたよ。」
「ええ。でも能力者ってこともあって、上手くいかないことも多いんですけどね。現に俺が旅することになったのだって、能力を理由に故郷を追い出されたからだし。」
「ほんと、私達の故郷にもハヤトさんみたいな人がいてくれれば何か変わったかもしれないのに…。」
イミテがどことなく潮らしく作り笑いをうかべる。
「いや…俺は全く無力だよ。」
そう言って悲しげな表情を見せたハヤトには、見ていて何か引っかかるものがあった。
「ハヤトさんはこの辺りに住んでいるんですか?」
「違うけど…どうして?」
「カツラさんが連絡してからハヤトさんが来るまで、ほとんど時間がかかっていなかったから、そうなのかなあと思って。」
「すぐ来れたのは船で近くにいたからなんだ。偶然だよ。それに、俺の故郷はここからはだいぶ遠いから。」
「へー。何ていう町なんですか?」
「うーん…たぶん遠すぎて聞いても分からないと思う。君たちの故郷はマサラタウンって言ってたよね?」
「…はい。」
「もしかして、マサラからそのまま海を渡ってグレン島(ここ)に来たのかい?最近旅を始めたばかりとか?」
「いえ、俺達はずっと北を進んで来たんです。ニビとかハナダとかがあるほうで、」
「(彼の故郷についての話し、上手くかわされたな。)」
レッドとハヤトが話しを続ける中、イミテはそんなことを思っていた。
それが意図的なものなのか、ただ本当に自分たちは分からないと思って話しを変えたのか、定かではないが。
彼は最初、軍人ではないと言っていた。
やはり名前が同じだけなのだろうか…?
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