24 君が生きた証
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その後グリーン、ブルーと合流し、カツラについて行ってたどり着いたのは、グレンタウンではなく、町外れの山奥にある一軒家だった。
それも特に木々が深い場所に建っており、どうやらここが彼の研究所…もとい家らしい。
その隣に建っていた古びた倉庫に仮面の男達を拘束し、見張り役としてブルー、シルバー、そしてゴールドが付いた。
元はブルーとシルバーの2人でやる予定だったのだが、「むずかしい話しは聞きたくないんで、俺も見張りやりますよ。」とゴールドが言ったので3人になった。
おそらくこの彼の行動は、ブルーとシルバーだけで見張りをしていて恨みにより変な気をおこしてしまう可能性を考えてのことだろう。
そのままブルーとシルバーだけだったら自分が見張りに回ろうと考えていたイミテは、ゴールドに先をこされた、と心の中でつぶやき、嬉しそうな笑みをうかべていた。
というわけで見張りを彼らにまかせ、カツラの家で話しを聞くことになったのはレッド、イミテ、グリーン、イエローの4人。
「少し散らかっているが、気にしないでくれ。」
そう言ってカツラは扉を開け、彼らを家の中に入れた。
「え…?」
そんな声をもらしたのはイエローだったが、他の3人も心の中で同じことをつぶやいたに違いない。
決して散らかっているわけではないが…、すさまじい量の書物がところせましとならんでいた。
本棚がいくつもあってそこは全て本で埋まっているのに、部屋の片隅にはさらに入りきらなかった本が積み上げられている。
「ここに座って待っていてくれ。今お茶をいれる。」
「あ、おかまいなく。」
「ああ。どうせ他人から出されたものをそう易々と飲めないからな。」
「…そうか。」
グリーンの直球な言葉に、カツラはコホンと咳払いをして席に着く。
戻ってきてから事情を聞いた彼は、まだカツラに微塵も信頼を見せていない。
「さて、何から話そうか…。」
「まずは本当にサカキのことを知っているのか、聞きたい。」
「試そうというわけか。まあいい。何でも聞いてくれ。」
「三幹部については?どこまで知っている?」
「三幹部か。ヤツらはサカキ直通の部下で、もっとも彼に近いところで動いている。本拠地をもっていて、それぞれ言うとクチバシティのマチス、セキチクシティのキョウ、ヤマブキシティのナツメ、だ。」
「その戦い方の特徴は?」
「そうだな…。キョウは毒の専門家であり、武器全てに毒をしこんでいる。ナツメは超能力者で無生物なら全てのものを操ることができる。そして、マチスは今は彼自身が捉えられたが、かつては能力者2人を従えて様々な指示をだしていた。」
カツラの言うことは寸分の狂いもない。
全てレッド達が集めた、または経験してきた情報と同じだ。
それがグリーンの不信感をあおった。
バッと彼は刀を抜き、カツラへと向けた。
「グリーン!?」
「コイツが言ったんだろう?不信に思ったら殺してもかまわない、と。」
「…私はウソはついていない。」
「ああ。だからこそだ。サカキは表立った活動はしていないはずだ。なぜそこまで詳しく知っている?」
「ふむ…そういうことか。それは私が元々サカキの元で動いていたからだよ。科学者としてね。」
「!」
「まあ…今から10年ほど昔の話だが。サカキは裏切りものを許さない。何も言わずに彼のもとを離れてから、私は今日までずっと追われる身だ。」
「どうして自分の立場が危険になると分かっていて、サカキの元を離れたんですか?」
「…彼が、恐ろしくなったからだよ。」
「…。」
その様子に、グリーンは静かに刀をおろした。
「私がまだサカキの元にいたとき、裏で支配していることはあったが、どれもが小さいことで、国の平和をはかるためには仕方がないと妥協できるようなものさえもあった。」
カツラはどことなく遠い目をして言う。
「だが、突然、その行動がエスカレートしたんだ。サカキは、“能力者に対する恐怖心”を国民に植え付けるため、大臣や貴族…上流階級の者達を使ってウワサをひろめた。」
「…。」
「今まで平和に暮らしていた能力者たちの自由を一瞬で奪い、彼らの評価を地の底まで落とした。私はそれを簡単にやってしまう彼の心が、そして、成し遂げられる権力が怖くなったんだ。」
その想いをおさえるかのようにグッと、カツラは拳をつくる。
「サカキ自身も能力者だと聞きました。なぜ、そんな自分が不利になるようなことをしたんですか?」
レッドの問いに、カツラは首を横に振る。
「その真意は分からない。」
「それが自分と同じ闇の能力者を集めて、力を強大化しているというのは間違っているか?」
グリーンが聞く。
これは前にブルーたちが考えていた推測だ。
「その可能性はないだろう。」
カツラはきっぱりと言った。
「一応闇の能力者を徹底して集めてはいるが、そのあとは属性は関係なく様々な地方の城や王宮に渡している。闇の能力者だけ手元におこうとはしていないんだ。」
「…アナタの考えを聞かせていただけますか?推測でもかまいません。」
イミテが言った。
こうも仮説をきっぱりと否定するなんて、ある程度の彼自身の推測もありそうだと考えたからだ。
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