24 君が生きた証
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「でも仮面の男(この人)…政府と裏のつながりがあるんですよね?」
数分前のそんなイエローのもっともなつぶやきが、大いに彼らを悩ませていた。
「…やっぱり政府に引き渡すしかないよなあ。」
「このままここに放置ってわけにもいかないしね。」
「だけどコネ使って数ヶ月とかで牢からでてきたら、今までコイツの被害にあってた人達が報われないッスよ。」
「あ、というか仮面の男が連れてた子ども達は?どっかにいるんだろ?」
「ああ…今グリーンとブルーが探しに行ってるよ。ついでに倒した手下達もここに連れてくるって。」
グリーンとブルーは戦闘が軽かったこともあり、特にケガもしていないし、体力もさほど減ってない。
他の皆を気遣って自ら名乗り出てくれたのだ。
「シルバー、分かる?仮面の男がどの程度コネがあるのか。」
「さあな。…しかし、マチスと関わりがあったこともあるから…少なくとも罪の判決はそうとう緩いものがくだる。」
「だよなあ。」
「だから、俺がこの場でソイツを始末、「それはダメだって言ってるでしょう?」
イミテがシルバーの言葉を遮る。
「復讐したって心は報われない。それに、この人を殺せばシルバーの心の価値はずっと低くなる。」
「…。」
「これ以上、この人のためにシルバーが犠牲になることないよ。」
イミテは優しく諭した。
「…となると、政府に引き渡すか。実際犯した罪より軽い判決がくだるっていうのがちょっとしゃくだけど…。」
「まあ仕方ない、…!!」
「!」
バッと、レッドとイミテが反応し、同時に同じほうに目をやった。
「?どうしたんですか?」
「!まだ敵がいたのか!?」
「…コイツの手下は全部で4人。逃げたと言っていた1人…イツキか…?」
ゴールドとシルバーも少し遅れて気づく。
木の向こうの人の気配に。
「…すまない。警戒させるつもりはなかったんだが…。」
まるで危害を加えるつもりはないとでもいうように、両手をあげてその人影はゆっくりと出てきた。
白衣を身にまとった、科学者のようなその身なり。
「アナタは…?」
「この島に住んでいる科学者だ。名はカツラと言う。」
「音を聞きつけてやってきたが…これは君たちがやったんだね?…能力で。」
「…戦いを見てたんですか?」
カツラの言葉に、レッドが探りを入れるように聞く。
「いや違う。この現状を見れば分かるさ。焼け焦げたあと、不自然に生えている蔓、そして雨もふっていないのに地面が濡れている。」
「…。」
もっともな答えに何も返せない。
しかしそれほどまでに細かいところにまで目がいくのは、彼が科学者だからだろうか?
「君たちは能力者…、そしてそこにいるのが子ども達を誘拐していたという仮面の男だね。」
「知っているんですね。この人のこと。」
「ああ。グレン島に潜伏しているとウワサになっていたからね。ありがとう。捕まえてくれて。」
「勝手にやったことだ。お前に礼を言われる義理はない。」
「ははは!もっともな意見だな。」
「それで、」とカツラは真剣な表情に戻り、続ける。
「仮面の男の始末に困っているようだね?」
「ええ、まあ…。」
「だったら私にまかせてくれないか?政府の権力にも立ち向かえて公平な判断をしてくれる人が知り合いにいるんだ。」
唐突なそんなカツラの提案に皆、無言になる。
その空気を代弁するかのように、イミテが言った。
「失礼ですが、急に現れたアナタの何を信じろと?アナタが仮面の男の味方で彼を逃がそうとしている可能性だって考えられる。」
「私は、ただ」
「そもそも理解できないことがあります。どうしてアナタは能力者を目の前にして、そんなに冷静なんですか?一般人なら少なからずとも怯えるのが普通なのに。」
「…疑われているみたいだね。」
「ええ。」
「イミテ…!」
間髪入れずに即答したイミテに、レッドがギョッとして声をかける。
「こういうことははっきり言ったほうがいいよ。…教えていただけますか?科学者と言った濁すような曖昧な表現ではなく、アナタは何者なのか。」
イミテは変わらず、凛とした様子で聞く。
「もちろんだ。」
カツラも物怖じせず、真っ正面からそれを受け止める。
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