「レッド！」


そこに、グリーンとブルーが到着した。


「この蔓は！？」

「この中にイミテと敵がいるんだ！」


「なにそれ！？どういうこと！？」

「イミテが蔓を消すこともできなくて、状況が分からないから安易に俺の炎で燃やすこともできない…！早くしないと、イミテが、」

「…レッド！あとのことは心配しなくていい。思いきりやれ！」

「え…」


レッドの手短な説明を聞いたグリーンは、すぐさま地面に刀を突き刺した。


「！？」


途端、レッドが立っていた地面が盛り上がる。

彼の大地の能力だ。


地面は蔓のてっぺんと同じ高さになって止まった。


「上(そこ)から、行け！！」

「！ああ！」



グリーンの考えを汲み取って、レッドはバッと蔓の上に飛びのると、そこを燃やし、


「おっりゃあああ！！」


できた穴からすぐさま下に降りた。


蔓の中は薄暗かったが、わずかな光が氷に反射してイミテの姿と仮面の男の姿はすぐに分かった。


ザッと、レッドはイミテの少し斜め前に着地する。


「！え、」

「イミテ！息、止めてろよ？」


レッドは驚くイミテにただそう一言言って、剣を持っていない…利き手ではない右手で彼女の体を軽く自分の方へとよせる。

そして、思いっきり剣をふった。



直後、ゴオオオ！と凄まじい勢いの炎が蔓を内側から焼き尽くす。



「ブルー！炎を消すことはできるか！？」

「やってみるわ！」


ブルーはシャラン！と仏具を空にかかげて鳴らす。

すると、ゴゴゴとどこからか音がした。


「この音は…？え？ブルー先輩ッスか？」

「…っ、この辺、湖とかが近くにないから、海から真水を寄せ集めてるの！集中しなきゃいけないんだ、から…話しかけないでちょうだい！」


そう言うブルーは少し辛そうな顔をしている。

やがて…


「いくわよ！」


そんなブルーのかけ声とともに水がバシャア…と炎にかかり、瞬く間に鎮火した。


それによって現れた人影はもちろん、レッドとイミテ、そして仮面の男だ。


「ぐ…、」


天敵である炎を真っ正面からくらったせいで、仮面の男はぐったりと地面に倒れている。

力を振り絞りなんとか起き上がろうとしていたが、


「動くな。」


グリーンがそれを許さない。

刀を仮面の男に向けて言う。

そして彼に近づくと手足を縄で手早く縛っていった。



「はあ…熱かった。無茶しないでよ、レッド。」


それを後目に、イミテがレッドに言う。

小さな傷こそあるものの元気そうだ。

もちろん彼女と彼女の弓がある場所だけは炎がいかないようにしたから、火傷などはない。


「無茶って、イミテが言えるセリフじゃないだろ！１人で仮面の男、相手にするなんて！」

「そうッスよ！俺のこともちょっとは頼ってくださいよ！！」


レッドに続いてゴールドも非難の声を上げる。


「ゴールドを頼りにしてたからシルバーのことまかせたんじゃない。」

「あれは頼ったんじゃなくて、俺らを戦わせたくなかったからでしょう！？」

「そんなことないって。」



そう言って笑みをうかべるイミテは、妙に大人びた表情をしていた。


「それとレッド。私無茶はしてないよ。」


言いながら、イミテは少し離れた場所に転がっていた弓を拾い上げる。


「合図は出したし、すぐに皆が来ると思ったから行動したの。」


「来なかったらどうするつもりだったんだよ？」

「そんな可能性初めから考えてない。来るって、信じてたから。」

「…」


そんなふうに笑われてしまっては責めることができなくて、レッドは頭をガシガシとかいた。



「(やっぱりイミテ先輩って、たまにすげーずりぃよなあ。意識してやってんのか？)」


そうだとしたら自分は一生振り回されっぱなしだろうとゴールドは密かに思う。



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