23 私が観ていた世界
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「どういうつもりだ。」
「さっき言ったでしょ?身動きを封じるって。」
「フン、これで封じたつもりか。」
イミテと仮面の男は、蔓の中にいる。
その言葉通り四方八方を蔓が囲んでいるのだ。
彼らを囲む蔓は十メートルほど縦に伸びていて、端から見るとその形はまるで大きな鳥かごのよう。
ただ普通の鳥かごとは違い、蔓によってつくられたそれは隙間が全くなく、その中は薄暗い。
ついでに言うと、足元の地面までもが蔓で覆われている。
「お前は先ほどの戦いで何を見ていた?我が能力を使えばこんなものすぐに壊せる。」
「そう。」
イミテは乾いた口調で、あざ笑うかのように言った。
仮面の男はどうせ強がりだろうと思い、能力を使って蔓を凍らせようとするが…
「なに!?」
凍らせて蔓の一部が砕け散ったかと思えば、また新たな蔓が伸びて穴をふさぐ。
「スピードが勝れば不利にはならない。これもさっき言ったハズなんだけど。」
「…っ、蔓を成長させているのか。」
蔓を上に高く伸ばしたのは太陽の光を当てるためだった。
イミテの出す蔓は生きている。
その再生力によって仮面の男を自分もろとも閉じ込めたのだ。
「(本当は仮面の男だけをこの中にいれる予定だったんだけど。仕方ないか。)」
とっさの出来事にあまり距離がとれなかったのだ。
まあこれで少なくともゴールドとシルバーは安全だ。
仮面の男に逃げられる心配もない。
あとはレッドが来てくれるまで持ちこたえられればいいのだが…。
「ふざけるな!!小娘が!!お前を倒せばいいだけの話しだろう!!」
まんまとしてやられたという怒りを露わにして、声をあげる仮面の男。
そんな彼に、イミテは弓を構えて言う。
「やれるもんなら、やってみなよ。」
「ゴールド!」
戦いの場に駆けつけたレッドは、巨大な蔓の前にいる彼の名を呼んだ。
「レッド先輩!!イエロー先輩も…、」
急いで走ってきたのが一目で分かる。
レッドとイエローは肩で荒く呼吸をしていた。
「仮面の男は!?」
「…この中に!イミテ先輩が戦ってるんスよ!」
「イミテさんが!?1人で!?」
「いつからだ!?」
「ええと、ついさっき…5分ぐらい前ッス!」
驚く間も惜しむかのように、レッドが蔓をどんどんと叩いてイミテに向けて言う。
「イミテ!」
「!レッド!?」
蔓に遮られて小さいけれど、イミテの声が返ってきた。
それに少し安心してレッドは続ける。
「あとは俺が相手する!この蔓を消せ!」
「消したいのはやまやまなんだけど、…ちょっと無理そう。」
「なんで!?」
「弓が使えない状態だから。…っ、」
蔓がつくった空間は半径5メートル程度のもの。
必然的に接近戦になるわけで、イミテは早くも不利な立場に追いやられていた。
ついさっき戦いの中で氷の槍が彼女の腕をかすめ、思わず手から弓を離してしまったのだ。
そのあと攻撃をよけるために後ろに遠のいたから、よけいに弓から遠くなってしまい、現在立ち位置的にはイミテと弓は仮面の男をはさんで正反対にある。
だから今イミテは能力を使った行動はいっさいできず、とにかく仮面の男の攻撃を避けていた。
「なんだよそれ!?」
もちろんそんな状況を知る由もないレッドは、ダンと蔓を叩く。
イミテの強さは分かっているが、こんな狭い空間の中で、しかも氷の能力者相手に彼女1人でどこまで対抗できるかなんて目に見えてる。
「レッドさんの能力で焼き払えば、この蔓もなくなるんじゃないですか!?」
「それだと中にいるイミテが危険すぎる!アイツがどの場所にいるのかすら分からないから、ある場所だけ燃やすこともできない。」
「だったらイミテ先輩に声をかけて、場所を確認すれば、」
「俺達の声は敵にも聞こえてるんだ。敵だって何か対策をとるに決まってるっ…、くそ!どうすればいい!?」
レッドは必死で考えるが、言い考えが思い浮かばない。
イミテが1人で戦っているというのに。
そんな焦りばかりが先走る。
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